幸いなことに、一部始終の動画が残されてました。
期待にこたえて(?)、とりあえず、貼っておきます。
解説する用意はあるんだけど、また時間かかるんで、それは後ほどということで、本件は工事中です。
(※6月9日 ようやく編集は一応のできあがりということにします。)
6月3日の落馬
落ちた瞬間は、なんで落ちたのか分からなかったんですが、見ると、ひどい落ち方ですね。
障害もなんにもないところで落ちてる。
駈歩の遠心力でふられて外にコテンって、もっともシロウトっぽい落ち方。
障害の高さがどうこうぢゃなくて、競技に出るレベルぢゃないです。
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。
記憶と、画像を改めて見ての感想とで、順にふりかえってみましょう。
スタートして、1番、2番、3番障害くらいまでは、まあふつうです。
私にしては、リズムいいほうだと思います。
自分の姿を外からみると、やっぱ姿勢はわるいなと思いますが。
腰張ってないし、本人は相当やってるつもりだったけど、ぜんぜん拳ゆずれてないし。
↑左回転して、4番。急にスピードがあがってます。仕掛けたつもりはないのですが。
うけてかえしてやって向かってく、という目標ができてない、待てていません。
随伴がとたんにわるくなってるのは見ても明らかです。
そして勢いついて、左に角度ふってある5番へ。↓
この間、7歩。まあ普通です。
スピードアップに危機感をおぼえてるんですが、ここ、あわてて抑えようとすると、引っ張りあいみたいに見えて印象わるいだろうから、前に出ていく馬にあわせて乗っていくように見せよう、って思ってます。
マジそう意識してました、見栄えを気にかけて乗っています、これでも。100センチだと、そうはいきません。
で、ここで馬がどうして元気よくなったか。
出番前に、準備馬場で言われてたんですよ、画面向かって左が厩舎のあるほうですが、そっちに向かうと行くことがあると。
そのことを忘れてた、意識してなかった(前日の同じ場所の練習のとき素振りもみせなかったので意味がわかってなかった)ってのが、敗因のひとつです。
で、つぎの左回転は、わりと大きくまわるので、その前のところで思いっきりブレーキをかけて、馬をおさえることに成功しました。
回転のときは、おとなしくなっています。しかし、目標としていた、外の手綱でまわる、にはちょっと遠いものがあったかもしれません。
この回転はもうすこし小さめの弧でよいのでしょうが、私は栄燐が左まわりのときは内に傾きがちという印象を強く持っていたので、大回りでもいいんで、6番に真っ直ぐ入るための軌道を慎重に選んでいました。
以前の私だったら、一度エキサイトして行き脚ついちゃった馬を収めることはできず、際限のない引っ張りあいをつづけたでしょうが、ここはどうにかコントロールを取り戻して、自分では乗りながら「俺もちょっとはうまくなったな」とかノンキなことを考えていました。
(必ずしもここに書いた文言のとおりとは言いませんが、馬に乗ってるときというのは、短い時間に思ったより多くのことを考えるものです。)
で、6番を飛んだら、右へ、練習のときに上手にできなかった「く」の字ライン、まさか本番にあるとは思いませんでした。
しかし、これは7歩や8歩といった急ぐ必要のある距離でもなかったので、下見したときから、とにかく6番飛んだあとに2歩で起こして、しばらく真っ直ぐいってから手前のことはどうにかしようと考えていました。障害が置いてあって、7番にまっすぐ入る場所は、限られていたので、かえって迷わずにすみました。
7番飛越。このときには、4番・5番を勢いで突破しちゃったヤバさは消えていて、冷静でした。
飛越に関して言えば、どの障害も、踏切合うかなんて迷わずに、思い切ってぶつけていく感じでいけば、近くから上手に飛ぶなあという感想を持ちながら乗ってました。
きれいに右に回転して8番に向かいたいなあと思ったのですが。
右回転で、急に馬が内に入り、私はバランスを崩しました。
いや、私がバランスを崩したのが先だったのかもしれません。だって拳の、左右が関連づけられてなくて、バラバラに動くさまが見られますから。
とにかく、ここが最大の敗因です。
私は、まだ、栄燐ちゃんたら左に傾くかもしれないから、ここはふくれないように、なんて考えていたのですが、右にキュッと入りました。
左回転だったらやるかもしれないと身構えてたんでしょうが、こっちの向きでは無防備でした。
かくして、ひどいカッコで、どうにか踏みとどまります。
いーえ、実は、踏みとどまってはいなかったのです。
馬の上には戻りましたが、このとき右のアブミが脱げてました。
座りがなっちゃいない=脚の位置というか構えというか使い方がおかしい=アブミの踏んづけかたが弱い、というのは私の最大の欠点です。
それを克服するために、去年の秋から、半年間、障害とかを封印して、部班のなかで、その改善に取り組んできたのです。
しかし、ここで、やっぱり、それは露呈してしまったのです。修行が足りなかったとしか言いようがない。
あとは、奈落の底に落ちる一方。
8番飛越。人間苦手なオクサーですが、馬は軽々と飛びました。
しかし、このとき、実は、右のアブミは履けてません。脱げたまんま、障害を飛びました。
反対側なんで、カメラに写ってませんが、ホントに右のアブミ履かないまんま、この障害を飛んでます。
ヒザで締めるんぢゃなくて、両のふくらはぎでおんなじくらい挟もう、なんて思いながら飛びました。
飛べたとき、標準とは違う意味で「俺やっぱちょっとはうまくなったかも」とかバカなこと考えたのは覚えてます。
当然、練習だったら、止めるか巻くかして、出直すのですが、試合で、馬が止まんない(止められない?)勢いだったので、そのまま飛ばすという、暴挙をはたらいてしまいました。
しかし、飛んだあとに、私の脳裏をかけめぐったのは、「あー、もー、ダメだ、優勝はできない」という思いでした。
ふつうの障害なら、どんなカッコだろうが飛んぢゃいさえすればいいのですが、この試合は採点競技なので、誘導と飛越姿勢の正しさが求められています。
審判は、ちょうどこのカメラとは反対側の位置から見てます、アブミ履かずに飛んだとこ見てアキれてるのは、容易に想像できます。
さっきの回転と、いまの飛越、見逃してくれるわけがありません、むちゃくちゃなので、もう優勝はないでしょう。
ここまでの走行がはたして勝負を争うレベルのものかどうかは知りませんが、とにかく私はここであきらめました。
これも敗因のひとつです。私はあきらめが早くて、また、あきらめると全然雑なことをしだすのです。
とにかく、障害をひとつ落っことしちゃったくらい、ガッカリしました。
周囲はどのくらい真剣に受けとってか知りませんが、私は今回は勝つことだけを目的にしてたので、1着ぢゃなければ、あとは何位だろうが関係ないという精神状態で臨んでいました。ということで、ここでオワッてるという面はありました。
8番障害のあと、また馬を抑えにかかってます。
ところが、このとき馬は、いっそう勢いがついて走りそうになってしまいました。
ひとつには、前と同じで、厩舎のある方向を向いたというのがあるかもしれません。
しかし、主たる原因は、私がアブミも履かずに強引に障害を飛ばせたことにあります。
引き上げたあと、せっかく下乗りして馬を軽くしてくださった担当者の方に、あそこでアブミ履かずに飛んぢゃいましたと白状したところ、「あー、それで、馬がビックリしちゃったんだ」というご意見でした。
馬には「なんだ、そのくらいで驚いてちゃ、しょーがないな」と声をかけてましたが、それは私の前だからであって、馬だってビックリするわな、そんなことされたら。すべて騎乗者のミスです、大事な馬にふだんの教育を破壊するようなとんでもないことして、すいません。
そして、一旦は体勢なおしたような気がしたんです。
しかし、このとき、ちゃんとアブミを履いたかどうかの記憶はありません。
履いたような気もしますが、そのあと落ちてるんだから履けてなかったのかもしれません。
それは些末なことだからいいとして、この障害を通過後に、馬が勢いよく走ろうとしちゃった、もうひとつの原因は、鞍上で私がバランスを崩したからです。
上が不安定だと、馬は自らがコケないように、走らないわけにはいきません。
人が後ろに倒れるようになれば引っ張られてひっくりかえんないように前にいこうって力は強くなりますし、前に乗ればつんのめんないように急いで前に進みますし、人が外に重心かければバランスとるために反対に内に傾きます。
ウソだと思うなら、自分で誰か人を背中におぶってみればわかります、動かれたら、とりあえず勢いつけて解消したくなります。
というわけで、障害飛ぶとき驚かされたのと同時に、着地後は上でグラグラするものに引きずられないよう、馬は一所懸命走ったのです。
いわゆる「引っ掛かった」とかいうのとは違います、馬の気性とかの問題ぢゃなく、乗り手がヘタでそういう事態を呼んだだけです、馬のことは責められません。
そして、もう一回ガツンという手応えを感じたとき、私の体勢は決定的に崩れました。
前の週までの練習で、ふたつの障害のライン走行をしていたときの教訓が、まったく活かされてません。
ひとつ飛んだあと、抑えて馬を手の内にいれたつもりになった次の瞬間、またグンと加速されて制御できなくなってしまったケースが、何回もありました。
一度はバランス戻せた気になっても、そこで再度なにかがあったときに対応できないことは、課題としてわかってたはずなのに、やはり本番までに解消されてはいないのでした。
そうそう、競技のあと、観覧席に戻ると、落馬を見ていた年長者のみなさんからは、「力尽きたか?」と言われました。
力使って乗ってるわけぢゃないので、そんなことはないと思ったのですが、よくよく考えてみれば、一度はこらえられるけど二度目には耐えられないということは、ある意味「力尽きた」という表現が当たっているのかもしれません。
これも敗因のひとつです、力尽きた、そういう簡単な言葉で自分を納得させてしまっていいのか、そこは微妙ですが。
それにしても、あとから映像を見て思ったのは、やっぱ、この程度で落ちないよなあ、ということです。
落ちた瞬間に何起きたか分からなかったというのも、そういうことです。
今より全然ヘタだった、以前の自分を思い起こしても、危ういくらい体勢崩れることなんかは、しょっちゅうあることでしたけど、この程度では落ちなかったはずです。
(だから、そういうとき期待してた周りは「しぶといなー」とか残念がってた。)
何度も見るうちに、今回の騎乗において力尽きたとかいう以外に、なにかが根本的に衰えた、って総括にたどりつかざるをえなくなりました。
専門的に言ったら何なのかはわかりませんが、このようなアクシデントがあった際の、反射神経のようなもの、です。それと平衡感覚のようなものもでしょう、もちろん。
実際にはちょっと意識したことないので、どうかわかりませんが、たとえば、電車に乗ってて予期せぬ急ブレーキでガタンと揺れたときに、以前だったらバランス崩さず自然と立ってられたかもしれないが、いまは何かにつかまらないとコケちゃうかもしれない、なんかそんな感じぢゃないでしょうか。
いやだ、いやだ。
思えば、以前は「ハネたくらいぢゃ、落ちないよ」と常々言ってて、実際たいがいの尻っパネには自然と対応できていたのですが、おととし2012年の夏と冬の2回(部班の隊列のなかで)ハネられただけで落ちました。あのころから、何かがおかしくなっていたのかもしれません。
(去年一年間は幸いなことに一度も落馬はしてませんが。それを競技会でやらかすとこが、なんとも勝負弱いというか情けない。)
しかし、何度見ても、これはないよなあ、としか思えません。
私が指導者だったら、「あんたセンスないから、もう来なくていいよ」って言いたくなります。
もう、馬に乗ったりするのは、危険なのかもしれません。
(たまに勘違いされるんだけど、私は馬術部出身なんかぢゃないし、年少のころから乗ってたわけでもないので、乗馬は「カラダでおぼえた」運動ではないから、体力等が衰えたときに働くべきカンがない。)
それはそうと、ファイトあふれる一面をみせてくれた栄燐ちゃんですが、手入れ終わって馬房にもどったら、いつものキュートな顔になってました。
もちろん、リンゴをやりました。