many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ソラニン 新装版

2017-12-16 18:01:29 | マンガ
浅野いにお 2017年11月 小学館 ビッグコミックススペシャル
こないだ読んだ『零落』がなかなかのインパクトで、有名みたいだけど、私は読んだことなかった本作を読むことにしてみた。
ちょうどいいことに新装版も出てたし。
しかし、自分が古くから好きなマンガ家の、手を替え品を替えての新しい版をみると、しょーもねーなと思うんだが、やっぱこういうときは便利だね、出版業界の商魂。
売れてるのかね、11月4日発行で、11月19日にもう第2版。
なになに、「11年ぶりの完全新作 第29話 収録」、おトク感があるぢゃないか、新しい読者には最初っから。(自分が持ってるやつだと、「それだけのために買えってか?」となるが。)
週刊連載してたのは2005年から2006年、そうですか10年も経ってるんですか、あのころ何してたかな、俺?
まったく予備知識なしで飛び込んだんだけど、そもそもタイトルのソラニンって何だろと思ったら、最初に書いてあった。
>ナス科植物に含まれるアルカロイド配糖体。
>ジャガイモの新芽に多く含まれる。
>苦みがあり有毒で、腹痛・めまいなどの中毒症状を起こす。
あー、あれね、名前と詳しい成分は知らないけど、ジャガイモの芽ぇ吹いたとこ食べちゃダメって教わったやつ。
もちろん、料理マンガとか理科学習マンガのはずもなく、作中におけるソラニンというのは、主人公たち登場人物のつくるバンドの曲名である。
最初出てくるのは、井上芽衣子さんと種田成男くんというふたり。芽とか種とか、ソラニン含んでるって意味?
ふたりは大学入ったときから付き合って、もう6年目、同棲して1年、芽依子さん会社入って2年目ってことは、24歳くらいか。
種田くんはバイトみたいな仕事で多少の生活費稼いでるんだが、いまだ学生のときのサークルでつくったバンド、ほかの二人は家業継いだ薬屋と現役大学六年生なんだが、この活動を続けてる。
で、芽依子さんは会社イヤでイヤで自由に生きてみたくて辞めちゃう。
自分だけぢゃなくて、同棲してる種田くんにも、中途半端ぢゃなくて本気で音楽やって勝負しなよって迫っちゃう。
かくして本気出しての曲作りやデモテープ(ついテープって言っちゃう昭和な私、CDだよね)つくりが始まる。
いいなあ。いいかげんそうな性格してるやつが立ち上がるとこは。脳内でひとりサミットするのがおもしろいけど。
一気に読んだけど、あとよかったとこは、芽依子さんとドラムのひとが、河辺(多摩川なんだろうな)で泣くんだが、そこはかなりひきこまれた。

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エピソード8を観てきた

2017-12-15 23:17:35 | Weblog
さてさて、スター・ウォ-ズシリーズの最新作「最後のジェダイ」の公開日である。
当然、観るんだろうが、きのうまであんまり気合い入ってなかった。
前作が、あんまりピンとこなかったのもあって。
(エピソード1から3は劇場で2回以上っつ(1は確か3回)みて、DVDも買ったんだが、エピソード7は1回だけしか観てない。)
私の好きなライター・ホリイ氏の『恋するディズニー 別れるディズニー』を読んだら、ディズニー的世界では、女のコは努力なんかしなくたって、ありのままでいれば王子さまが認めてくれるもんだ、ってことがわかったんで、そーか、ディズニーがつくれば、ヒロインは修行なんかしなくたって、ライトセーバー振回せるし、フォースっぽいもの使えることになるんだ、なんて納得しちゃったもんだから、んー、今後の続編も、なんかイージーなことやってくれるんだろう、みたいに、あまり期待してなかったもんで。
そんでも、きょうの昼ごろになって、やっぱヒマあるなら早めに観に行くか、みたいな気になって。
土曜か日曜の朝イチとかが空いてっかなとか迷ってるうちに、きょうウチ帰ってから21:40開始のやつに行くかって気になった。
でも、夜遅いの最近とみに弱くなってるしなー、とかまだ逡巡してるうちに、仕事帰りに18:30のやつ間に合ったので飛び込んだ。
正確にはチケット買った時点で18時半過ぎてたんだけど、予告編やっててまだ天井の灯りがなんぼか点いてる時点で坐ることができた。
前のほう半分とか、端のほうとか空いてて、あらら、あんまり人気ないのかなと思ったけど。
でも、なんか、みんな待ち受けてる感はすごいあったような雰囲気ではあった。同好の士、って感じがする、周囲の空気。
期待しないとかいってるわりには、観てみると、退屈するとこなく、あっという間ではあった。
でも、冷静にみると、それって私がスター・ウォーズ的世界にどっぷり浸って参戦しているからであって、初見の人からみたらワケわかんないかもしれないなって気はする。
まわりはみんな同じような理解度と期待感をもって座ってるから、一緒にトリップしてる空気があって、いいんだけど。
たとえば、宇宙空間での艦隊の戦闘のクライマックスみたいなとこで、一瞬静寂があるんだけど、そこで物音ひとつしなかったとき、観てるひとの一体感みたいなもの感じたし。
ルーク・スカイウォーカーの、ありえないだろ、それ、みたいな場面でも、失笑するひとは誰もおらず、そうそう、そのくらいのことはある、みたいな観客の同意が感じられたし。
こういう場にいられると、あー、劇場でみてよかった、って思う。
以下、適当に、きょう感じたことの羅列。
・BB8、スゴすぎ。超人的な活躍だよね。(人ぢゃないか、)地上、ぢゃないや、宇宙最強ぢゃない?
・チューイ、ファルコン操縦の腕あげたんぢゃない?
・ジェダイは生きものを殺さないって前提で、エピソード1~3ではドロイド相手のたちまわりが多かったけど、今回は相手がマスクかぶってるとはいえ、やたら人相手に戦ってる感じ多くない?
・やっぱ、マスター・ヨーダは偉大。
・ジョン・ウィリアムズの音楽はいい、今回も最後まで座って、堪能してしまった。

※12月17日付記
んー、待てよー、今回、誰も例の「I have a bad feeling about this」を言ってないような気がするぞ。
聞き逃したかな、あれ無いとスター・ウォーズって感じしないんだけどな。
コメント (2)
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ルーヴルの猫

2017-12-10 18:01:56 | マンガ
松本大洋 2017年11月 小学館ビッグコミックススペシャル 上下巻
先月、書店でみかけて、衝動買いした新刊コミックス。
著者名と、ちょっと意外なカバー表紙画みて、うーむ、読んでみずにはいられない、みたいな感じにとらわれてしまった。
マンガでルーヴルっていったら、谷口ジローの『千年の翼、百年の夢』が思い浮かぶんだけど、松本大洋がルーヴル題材にしたら何描くんだろ、って興味津々。
(そのわりには、すぐ読まないで二週間くらい置きっぱなしにしてたりして。)
読み始めて、すぐおもったのは、なんか画がちがう感じ、ってこと。
美術に詳しくないから何調っていったらいいのか判んないけど、いつもより丸っこくて、色をつけたら淡いんだろうなって雰囲気。
お話のほうは、ルーヴル美術館の屋根裏部屋をすみかにしている猫たちの話。
美術館に勤める一部のひとたちが、内緒で飼ってんだけど、猫たちは猫たちで勝手に生きてて、満月の夜には外へ繰り出したりする。
人間から見たときはネコのかたちしてるんだけど、猫の視点から物語が進むときは猫たちは擬人化されて描かれる。
猫が主役ではあるけれど、テーマは絵の声が聞こえるひと(ネコ)のこと。
絵の声を聞くことのできるひとは、絵の中に入ることができて、絵の中に入っているあいだは齢をとらない。
うん、なんかいいですねえ、一読して気に入った、このマンガ。
雑誌連載してたらしいけど、予備知識なしで読んで単行本、一気に読むって私のやりかた、いいものに出会うととてもうれしい。

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神の発明

2017-12-09 17:52:49 | 中沢新一
中沢新一 2003年 講談社選書メチエ
妙に刺激されるものあって、ぜんぶ読もうとしている“カイエ・ソバージュ”のIV。
なかでも、これはタイトルにインパクトある、すごく興味ひかれる。
先に古本市で「V」を手に入れて、これが探してて見つからないので、とうとう新刊を買うことにした。
売れてる本というのは、ありがたいことに、その気になれば容易に買い求めることができる、2016年の14刷。
現在も地上の人間の多くは、神ってものを心のなかに持っていそうなもんだけど、そもそもどうやって人の精神のなかに神ってものができたか。
日本語の神っていうのには、主に西洋からその概念がもたらされたと思われる超越的な存在としてのゴッドと、八百万の神のようにたくさんいて、自然とか動物とかに結びついてたりする精霊・スピリットの、ふたつの意味を含んでる。
スピリットからゴッドが発生してったメカニズムを明かそうっていうんだから、ふつうの宗教論とはちょっとちがう。
いちばんおもしろいと思ったのは、最初のほうのスピリットの話で、原始的な社会では薬物的な植物までつかって幻覚を見るような祭が行われていたなんてとこ。
幻覚体験のなかで、目の前のガンガンと光のイメージが飛び出して見えてくる、それは世界共通だっていう。
>人間が自分の脳の内部から出現してくる光のイメージを、幾何学的なパターンとして表現したもの(p.43)
は、世界中でいろんなものに描かれてる図形、模様として発見されてる、人間の内側から発生しているものだというのは、なぜ、どうして、なんなのって、すごい刺激されるものだ、そういうの大好き。
なんだかんだするうちに、超越的な存在としての神が生まれてくるんだけど、そこまではいいとして。
現代がかかえてる問題は、唯一神をつくりだしちゃった人たちが、資本主義もつくりだして、それが世界中に影響力をもちすぎているというとこにあるらしいんだが。
序章 スピリットが明かす神(ゴッド)の秘密
第一章 脳の森の朝
第二章 はじめての「超越」
第三章 神(ゴッド)にならなかったグレートスピリット
第四章 自然史としての神(ゴッド)の出現
第五章 神々の基本構造(1)―メビウス縫合型
第六章 神々の基本構造(2)―トーラス型
第七章 高神から唯一神へ
第八章 心の巨大爬虫類
終章 未来のスピリット
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カタストロフ・マニア

2017-12-03 17:18:39 | 読んだ本
島田雅彦 2017年5月 新潮社
SF書いたんだ、おもしろそう、って新刊買ったの、たしか夏ごろだったと思うんだが、しばらく放っておいて読んだの最近。
カタストロフ・マニアっていうのは、主人公が遊ぶゲームの名前だってことになってるが、国家や文明を繁栄させるのが目的だが、すぐ破綻しちゃうと。
主人公はシマダミロクという26歳の男性、特に仕事とかしていないっぽい、自身ではゲーマーと称している。
あるとき知りあいから三週間の治験モニターのバイトをもちかけられて、五十万の謝礼も魅力だし引き受けて病院に缶詰めになる。
鼻にチューブ突っ込んで投薬され、二時間に一回、一日にして120ccの血を採られる、けっこうきつい。
降りようかと思ったがとどまるように説得され、最後は脳を冷やすことによる冬眠実験までさせられる。
で、二十四時間の冬眠と言われてたんだが、目が覚めると二週間が経過してて、誰もいなかった。
院内だけぢゃなくて、街にも人が誰もいない、電気とか全部切れてるようで、動いてるものがない。
テレビもネットもつながらないけど、どうやら情報を集めると、「太陽のしゃっくり」が発端だという。
東京でオーロラが見えた日に、コロナ質量放出っていうの、磁気嵐が強大になり、電気は全部こわれてしまった。
それで原子力発電所がヤバくなってしまった、「二十五年前のフクシマ」ってあるから、ときに2036年か、この話の舞台は。
おまけに新種の伝染病が蔓延して、人々は東京から逃げ出すか、地下かどこかに閉じこもるしかなくなる。
原始的な生活様式にもどってのサバイバルを余儀なくされるんだが、問題は、伝染病をばらまいたのは誰かの陰謀らしいということ。
>地球の適正人口は五億人以下である。
>善良なる者を中心に多様性を確保し、(略)(p.163)
で始まる碑文がアメリカにあるとされ、要するに人為的な淘汰をおこなうためにウイルスが使われたのだという。
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