土曜日の内容の続き。
長距離の補強を教えることと同時に「ハードルのための練習」も行いました。これは近隣の学校の声をかけて一定レベル以上の選手と一緒に練習をするというもの。同じ地区にかなり力のある選手が複数名います。単独で練習するだけではなく「競争」するなかでやっていくとより効果は高まるのではないかと。
通常の学校では同レベルの選手が複数いるというのは少ない。走るだけなら何とかなるかもしれませんがハードルで同レベルの選手が複数いて競争できるというのはなかなかありません。そのあたりも踏まえて一緒に練習することで得るものがるのではないかと。うちの選手は午前中に通常練習を終えてからの参加となるでかなりダメージはあると思いますが「タフ」になる必要もあると思っています。
元々は前任校の選手とうちの選手の2人でやる形がいいかなと思っていました。ショートハードルで強化していくためには実力のある前任校の選手と一緒にやることが一番だと思ったからです。もちろん、お互いにメリットがなければいけないので細かい技術的な部分は別に指導していければいいかなと。前の土曜日にハードル練習会があったので親しい指導者に「土曜日の午後一緒にどうか」と声掛けをしたら「ぜひ」ということだったので何人かでやろうということに。当日残念ながら1人参加できませんでした。勿体ないなと思います。流れに乗り遅れてしまうと今の県内では勝負できなくなります。これも私が強制する話ではないので自分で選択すればよいと思います。
長距離の練習と一緒になっていたので最初は自分たちでやってもらうことに。この日のメインは「技術的なこと」ではなく「競争」でした。アップに関してはある程度できればいいなと思っていたので。体幹補強を軽くやってからMDの真上投げ。ハードル股関節をやってからワンステップハードル、片足スキップ、連続引き出しです。こういう部分も他校の選手と一緒にやることで課題が見えてきます。跳躍系が得意なndgの選手は連続引き出しなどが上手い。空中で移動する感覚があります。多分通常の練習の中に組み込まれているのだと思います。「比較」することで自分の課題を感じ取ることができればいいなと思っています。
そこからは本格的に「ハードル練習」です。この日は「勝負」が最優先。最初は3歩ハードルで。1台目までを3本、3台目までを3本、5台目までを3本。5人の参加だったのでローテで全員と走れるようにしました。細かい技術的な話ではなく同時にスタートして「速くハードルを越える」というシンプルな競争。単純に走る競争ではなくハードルを入れた競争。有利なのはショートハードルの選手です。前半部分はこの選手を中心に「競争」をすることに。同時に出ると「力み」が生まれます。さらにはハードルを越えることで「勝ち」「負け」がはっきりしてきます。
技術的なことを求めるのではなく純粋に「競争」です。勝ったら「強い」、負けたら「弱い」というシンプルなもの。通常のハードル練習会では競技レベルにも差があるので技術的なことなどをやっています。男女合同なのでその部分も影響しています。この日は女子のみとしていたのでハードルを置くのも3パターンで済みます。ハンデとはいいませんが「ハードル間の距離」を変えていくことで「勝負」できます。もちろん「走力差」はあるので正確なハンデになっているのかは別問題ですが。
今回は15秒0の選手と1分3秒の選手が来てくれていました。うちの選手としたらこの2人と一緒に走る中で「まだ弱い」というのを感じてもらう機会になる。1分3秒の選手はヨンパの中では前半型ですが15秒0の選手と競争すると前半おいていかれる。逆に15秒0の選手は距離が伸びていくとオーバーストライドでカバーしないといけないのでピッチが落ちる。そこを他の選手に追いかけさせる。こういう練習ができるのはそれぞれにとってプラスです。単独ではできません。
3歩が終わってから距離設定を変えて5歩。これはヨンパの距離でやっています。これくらいまでの距離は「ショートハードル設定」でやるほうがいいかなと思っています。土曜日の午前中にやった感じからすると5歩と7歩で使い分けるといいかなと。5歩で早いリズムを覚えさせてそれを7歩にしていく。ショートハードルの選手に7歩ハードルは必要ないかなという感じもありますが後半の部分も考えて今回は一緒に。
5歩ハードルも3台目と6台目までを3本と2本で。これだけで60m以上の距離を走ることになります。全て全力で走るので良い負荷になると思っています。この辺りまではショートハードルの選手が圧倒的に強い。スピードとハードリングの部分を見直さなければいけないですね。そこから7歩。これは110mくらいの距離になります。結構な距離。それを7歩のリズムで走り続けます。この辺りから400mHの選手は走れるようになってきます。うちの選手まだまだ1分3秒の選手についていくことができません。それでも最後のハードルを越えるのに2歩くらいの差までついていけていました。ベストタイムが大きく違うのでこれだけでも大きな収穫です。
この日強い2人の競争。前半ショートハードル選手が逃げます。後半になってヨンパの選手が追い込む。ラスト2台のところで追いついて「チャンス」と思ったのですが力んで8歩になり合えなく撃沈。これはすごい貴重な経験だと思います。通常一人でやっているときには「他者」を意識してハードル練習はしません。今回のように目の前に他の人がいて競争をするから「力み」も生まれる。これは実際のレースでも起きていることです。競争が一番厳しいところで毎回バランスを崩してしまう。ここで「勝つチャンス」を逃しているのです。こういう練習の中で「自分の走りをコントロールする」ことができればより記録が短縮できるのではないかなと思います。貴重。
さらにショートハードルの選手に関しては「逃げる選手を追う」という形にしました。跳躍選手がなぜか参加していたので「5歩」のハンデを与えてそれを追いかけるように。必死に逃げる選手を追いかけることで「力み」もでます。普段やらない練習の形で前を追う。よりも長くなっていますから後半しんどい。その中でも走り続けるということが重要。少しずつ追い込んでいきましたが最後の1台を跳べずに転倒。怪我をしていないかすぐに確認に行きましたが「最後足が動かなくなった」ということ。ハイスピードで走り続けていたので持たなかったのだと思います。そこまで自分を追い込むというのもすごい話ですが。
同じく跳躍選手とヨンパの選手を同じような展開で走らせる。跳躍選手が逃げまくる。最後追い込まれていましたが、フィニッシュをするくらい全力で逃げる。これによりお互いが良い練習になります。「自分のペースで走る」というのであれば誰でもできます。が、試合の時にはそれができないのです。周りに人がいて競争をする。その中で力を発揮するから記録が出せる。単独で上手く走れても競争となると力んでしまう選手もいます。今回の練習は収穫的には大きかったと思っています。
この手の形で「それぞれの選手の課題」に「気づく」ための練習ができました。ここは大きいですね。個人的に分かったことはうちの選手、「間違いなく強くなっている。が、今のままでは勝てない。」ということ。それほど甘くありません。力が付いてきていますが「勝負」となるとまだまだ力の差がある。これをどのようにするか。勝つために何をするか。足りないところをどのように補うか。来年度の3年生はここ最近で一番強いと思います。が、ここで勝ち上がれなければこれから先も勝負にならない。上級生がいなくなったから勝ったというのでは面白くないですから。どれだけ本気になれるか。そこにかかっていると思います。
収穫の多い練習でした。選手に刺激になってくれるといいのですが。