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広告やキャッチコピーを疑え! 村田茂雄

2013-02-03 10:35:31 | 12期生のブログリレー
昨日はセミナーお疲れさまでした。
セミナーの講義で診断士の先生方が「本質を捉える大切さ」をお話されていました。
そこで今回は、「本質を捉える」に関連して、表題の通り世の中を疑いの目で見れる力を養うヒントとなるような雑誌を紹介します。

現在はモノが溢れている時代で、私たちは日々商品やサービスを受ける際に選択を迫られています。「今度購入する電化製品(例えばテレビ)はどれにしようか?」「生命保険に入ろうと思うけど、どの会社のどの保険がいいのかな?」「今日飲むペットボトルのお茶はどれにしようか?」と。
 そこで皆さんは何を基準にその商品やサービスを選ぶだろうか? 
 よく購入しているモノやこだわりのあるモノ、自分の得意分野のモノであれば、しっかりとした判断基準で選ぶだろうが、そうでない場合はそのモノの広告やキャッチコピーを判断材料にすることも多々あるのではないだろうか?
 例えば、野菜ジュースを購入するとしよう。モデルを簡単にするために、野菜ジュースの商品は2つしかないとする。1つは、何もキャッチコピーが謳われていない野菜ジュース、もう一つは「1日分の野菜を使用」と謳われた野菜ジュース。
 多くの人は、この2つの商品のパッケージに記載された成分表を見て、「カロチンはこっちが何mg多くて、食物繊維はこっちが何mg多いから、こちらの野菜ジュースにしよう」とはせず、商品のキャッチコピーを見て、「『1日分の野菜を使用』と謳っている方が、野菜を多く取れるからこっちを購入しよう」といった感じで購入する商品を選ぶだろう。
 このように広告やキャッチコピーは私たちが商品を選ぶ判断基準の一つとして重視しており、企業側もそのような消費者行動を理解していることから、より商品が魅力的になる上手い広告やキャッチコピーを考えて商品を上市している。
しかし、企業が出す広告やキャッチコピーの中には、景品表示法等の法律ギリギリで、言葉巧みに消費者を錯覚・誤認させるような表現の仕方で消費者を「騙している」場合が多々ある(例に出した野菜ジュースもその一つであり後述する)。
そのような広告やキャッチコピーに騙されるな!と警戒を鳴らした雑誌が、今回私が紹介する雑誌、別冊「MONOQLO(騙されてはいけない 広告コピーカタログ)」(株式会社晋遊舎発行)である。
 この雑誌では、消費者が広告やキャッチコピーで一般的に誤認されている(騙されている)例が64事例紹介されており、今回はその中から3つほど事例を紹介します。

【事例1】三ツ矢サイダー オールゼロ(飲料水)
 この「オールゼロ」とは、「カロリーゼロ、糖質ゼロ、保存料ゼロ」のことだが、ここで巧みに消費者を誤認させる点が2つある。まず一つ目はカロリーゼロ。実際の栄養表示基準では100ml中5kcal未満であれば「ゼロ」という表示ができるとしており、実際に測定すると1kcal入っているという調査結果となっている。決して「ゼロ」ではない。もう一つが、保存料ゼロ。もともと三ツ矢サイダー自体の商品に保存料は使われてこなかったので、もともとゼロであるものを、あえて「ゼロ」表示をすることで、あたかもこれまでの商品とは違う錯覚を起こさせている。

【事例2】アメリカンホームダイレクト「これからだ」(保険)
 この商品は皆さんも良くCMで耳にしているだろう。地井武男さんが「50,80喜んで」と言って紹介している保険のCMである。このCMを見ただけだと、50歳~80歳まで誰でも入れる生命保険、もしくは医療保険と認識してしまいそうになる。ただ、実際の「これからだ」という保険商品は、傷害保険であり、もともと誰でも入れる保険である。それをあたかもこのようにCMすることにより、保険に入れない人でも入れるような錯覚を起こさせている。
余談だが、当然、私の勤務先でも誰でも入れる傷害保険を販売している(コンプライアンス上、基本的には高齢者には勧めていないが)。

【事例3】「1日分の野菜を使用した野菜ジュース」
 一人暮らしの人なら特に野菜不足が気になるところだろう。私も一人暮らしをしていた学生時代は毎日野菜ジュースを飲んでいたものだ。
 スーパーで並んでいる野菜ジュースには、「1日分の野菜を使用」と謳っている野菜ジュースがある。これだけ見ると、あたかもこれを飲めば1日分の野菜を摂取できるような印象を受けてしまう。だが、実際はその言葉の通り、1日分の野菜の摂取目安である350gの野菜を原材料として使用しているだけで、製造過程で加熱や絞汁で栄養分が欠落してくので、1日分の野菜に含まれる栄養素が補えるわけではない。

どれも誤認する方が悪い? というか完全に誤認を狙っているとしか思えない事例ばかりで、他にもいろいろなモノが紹介されており、どれも面白く、非常に参考になるので、是非皆さんも読んでみて下さい。
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ステップバック戦略

2013-02-03 00:17:46 | 12期生のブログリレー
 業績の低迷が続いているシャープですが、その経営再建の切り札として位置づけられているのが、液晶パネル「IGZO」だそうです。IGZOは、従来の液晶パネルと比べ解像度が2倍、消費電力が5分の1以下の製品です。IGZOの量産技術を世界で最初に確立したのがシャープです。今は、シャープにしか作れないオンリーワンの液晶です。

 このIGZOは、アップルのiPadにパネルとして採用されています。しかし、このiPadには、韓国サムスン電子などの製作するアモルファスパネルという製品も採用されています。買った人は、自分のiPadにどの製品が使われているのか分からないそうです。あえてどちらか分からないように、アップルがIGZOの解像度を落としているからです。それは、部品を複数の企業から調達し、供給量を確保するとともに価格競争をさせるためだそうです。

 オンリーワン戦略は、差別化戦略、競争優位戦略のための定石ですが、ここでは通用しません。完全にアップルに主導権を握られています。

 早稲田大学の長内厚教授によると、アメリカのシカゴ大学液晶産業研究チームで「ステップバック(一歩引く)戦略」と呼んでいる戦略があるそうです。『台湾や韓国は、日本が確立した製品技術を進化させ真面目に工程イノベーションに取り組み、液晶パネルや半導体の生産を効率化』するというものです。台湾の企業経営者には「常に日本企業の後をフォローし、その先には行かない」と話している人もいるそうです。
http://www.careerv.com/contents/support/report.asp?a=id1255

 実際、台湾の液晶パネル大手、友達光電(AUO)や奇美電子、韓国メーカーもIGZOの量産準備を進めていて、シャープの優位は2年くらいと言われています。

 昨年の12月に、シャープがアメリカの半導体大手クアルコムと、次世代ディスプレーパネルを共同開発するという新聞記事がありました。シャープもその辺を見越して、次の手を打ったのでしょう。

 日本企業には、やはり先端技術で、フロントランナーでいて欲しいと思います。しかし、たとえオンリーワンの技術であっても、それだけでは持続的な成長は難しいようです。生産の効率化や新たなビジネスモデルの確立などいくつか方策はあるでしょうが、“顧客の創造”につながる、消費者に新鮮な驚きをもたらす製品の開発を期待したいものです。 村山
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