中小企業診断士の金子です。
前回の続きです。
前回の記事 http://blog.goo.ne.jp/kasegerupurocon/e/4b36f613470cfba9de11c152c36bf328
カチャカチャカチャカチャ、ハサミの音だけが鳴り響く中、壁沿いに
規則正しく並ぶおじさん達の構成員の一人となりながら、「むしろ
このほうがよかったかも・・・」と感じていました。
年末のバタバタの中、髪を切りに行けるタイミングがなかったため、
電車の中でふと思い立って、1000円カットのQBハウスを初訪問。
しかし、過去、カットのために新しい店に行き、思ってなかったような
髪型にされ、元気がなくなるという苦い経験を何度もしているので、
1000円で本当に大丈夫なのかという不安を拭い去れずにいました。
そのため、当初10分間でのカット終了という結果を望んでいたものの
心を落ち着けるための準備時間となる待ち時間は、重要な時間とな
りました。
QBハウスでは、一人のカットを10分で終えます。待ち時間もそれに
準じたものとなるはずです。
来店時、10人以上の人たちが自分の順番を待っていましたが、カットを
行っている店員は3名おり、それぞれが一人のカットを10分で終えるの
であれば、待ち時間はそう長くはならないということが予測できました。
案の定、誰かのカットが終わる場面を目にする場面は多く、その度に
おじさんたちは10センチほど腰を上げ、一人分のスペースを横にスライ
ドします。
10分で一人のカットが終わると、新たな一人のカットです。
そして、並んでいた人たちは、押し出されるように前へ。
カットが終わったおじさんたちは、流れるようにすっきりして店を出てい
きます。
店舗では、ライン生産方式によるカットの量産が成立していました。
QBハウスでは、カット以外のサービスを行いません。
一般の理容室や美容室などで行うような、パーマ・カラー・シャンプー
マッサージ・雑誌の提供・肩もみ・髭剃り等一切行っておらず、ひたすら
カットのみを行います。
会計は、券売機での先払いという徹底ぶりで、従業員は、自分のカット
エリア以外に足を運ぶことはほとんどありません。
ただひたすらカットを行い、カットの回転数を上げることで売上を重ねます。
カットの後には、掃除がありますが、これも徹底的に簡素化、カット台ユニッ
トに付属した掃除機のようなもので、客の上半身に残る髪の毛を吸い取り、
床に落ちた髪は、これもカット台ユニットの底面にある吸い取り口で吸い取り
ます。
掃除や準備等にかかる時間は2~3分程度。店員は無駄話をせず、客一人
の1クールを12~13分で終えます。
来店客が途切れることがなければ、一人の店員は、1時間で5人カット、7時
間で35人をカットできます。
1人1,000円で商売になるのかというのは、誰もが感じることかもしれませんが、
1日7時間労働として一人あたりの1日の売上高は35,000円。
ひと月を22日とすると一人770,000円/月。原価はほぼかかりません。
シンプルですが、来店客が途切れなければ、確実に利益を確保できます。
普段通っている美容室では、受付、カウンセリング、洗髪、カット、パーマなどの
付加サービス、マッサージ、会計というような流れを取り、それぞれ違う担当者が
対応してくれますが、QBハウスでは、担当は一人、カウンセリングとカットで終了
です。普段通っているお店とは全く違います。
あとは、来店客が途切れなければということなのですが、それはまた次回!
良いお年を。