みなさん、こんにちは。稼プロ!23期 柴田 純一です。
今回は事例Ⅲの頻出単語3Dプリンターについてお話します。
最近ある雑誌で「金属3Dプリンター」の記事を読みました。
金属も3Dプリンターで加工できることを知り、改めて革新的な技術だなぁ、と感心したのでご紹介します。
金属3Dプリンターの工法は、従来と全く逆の発想です。
金属の不要な部分を削って形にするのではなく、必要な部分を作っていきます。
具体的には、金属の粉末にレーザー光線を当てて30〜100μmずつ溶かして固めて積み上げていきます。
金属積層造形(AM:Additive Manufacturing)とも呼ばれています。
従来は機器が非常に高額で普及が進みませんでしたが、2021年頃より価格が下がり、少しづつ導入が進んでいるそうです。
金属 3Dプリンターの一番の特徴は、従来工法では製作不可能な複雑な形状が造形できることです。例えば、従来の工法では困難だった金属内部の加工も可能です。
具体例な活用事例をご紹介しましょう。プラスチック樹脂を成型する金型の冷却にもこの新技術が活用されています。
金型に充填される原料樹脂は 、200〜600℃と非常に高温となり、金型を冷却する必要があります。
従来はドリルで金型に水を通す穴を作り、金型を冷却していましたが、水管を真っ直ぐにしか通せないため、金型全体を均一に冷却するまでに時間を要していました。この冷却時間を短縮することが工程上の長年の課題だったそうです。
金属3Dプリンターがこの課題を解決しました。金属3Dプリンターは、外側から削ることができない内部の加工ができるため、金型の形状に合わせて曲線を組み併せた水管を通すことができるようになり、冷却時間を大幅に短縮できたそうです。
従来冷え難かった場所を直接冷やすことが出来るようになり、冷却効率が高まり、生産効率が上がったことに加えて、冷却ムラがある場合に発生する金型への焼付き等の不良品が大幅に減り、品質の向上にもつながったそうです。
正にイノベーションですね。
その他にも金属3Dプリンターには、①強度を維持しながら軽量化が図れる、②部品数が減り溶接等が不要となるため、作業を効率化できる、③多品種を同時に製造できるため納期を短縮できる。等のメリットがあります。
金属3Dプリンターは、どのような形も作ることができる夢のような機械ですが、取り扱いに高度な技術が必要な上、まだコストも高く、従来工法で作れるモノを金属3Dプリンターで製作してもコストメリットは出ないようです。
金属3Dプリンターを活用するためには、この特徴を最大限『付加価値』に変えることのできる『製品設計(=Design for Additive Manufacturing)』が成功の鍵になるそうです。
現状日本は、海外と比べて3Dプリンターの普及が遅れています。装置が高価という理由の他に、設計の発想が追い付いていない面も大きいそうです。
工法による制限がなく、デザインが無限大の条件で最適な設計する、という発想の転換にまだ慣れていないようです。
DXとも似た話のように思います。
かつては世界を席巻した日本のモノづくり、この分野では世界に遅れは取りたくありません。
巻き返していくために、我々中小企業診断士も自由な発想力を磨いていきましょう。
〆