皆さんこんにちは。「稼げる!プロコン育成塾」24期生の佐藤真武です。
先日ある研究会で、「そろそろプレゼンやってくれないかなぁ」とご指名をいただいたので、年明け早々に発表をさせていただきました。
何をテーマにするか考え、提示したい結論を決め、章立てを整えてからおもむろにパワーポイントの作成に取り掛かりました。はて、前回はいつ作っただろうか、考えても思い出せないほどマテリアル作成から遠ざかっていた私は、シート1枚を仕上げるのに2時間もかかってしまうような体たらくで、データの検索と抽出に時間がかかり、レイアウトや色使いも満足できず、そのせいで年末年始の約30日間を制作に費やしてしまうという惨状でした。それでもまずまず好評をいただいたので、何とか傷を舐めることはできました。
そのテーマは「日本ワイン」。今回はその魅力について少しお話します。
戦後の日本の酒類市場はまさにビールの市場でした。1960年代に冷蔵庫が家庭に入りだしてから1990年代までの約30年間で、ビールは酒類消費の75%を占めるに至りました。しかしその後は、女性の社会進出というボーナスが終わり、人口減少と健康志向の影響を受けて、その比率を65%にまで減らしています。
一方でワインは、2000年代の酒販免許の自由化による国内流通の激変と、その直後のEPAによる関税撤廃、消費者の買い回りの改善、スクリューキャップの手軽さなどから消費が本格化し、今では国内における酒類消費の4%を超えるまでに成長しています。しかし、EPAの効果は輸入ワインが増えるばかりで、国産ワインが海外に輸出されることは稀でした。その大きな理由の一つは、日本にはワインを規定する法律がなく、海外原料を使っても国内で製造すれば国内製造ワインとなるため、海外の消費者は、「そんな素性の怪しいものは買いたくない」というわけです。
そこでようやく2018年に、「果実酒等の製法品質基準」が国によって定められました。要約すると、国内製造ワインのうち、国産ぶどうだけを原料とし国内で製造されたワインで、ラベルに「日本ワイン」と表記されたものを「日本ワイン」と呼びます。フランスのような「原産地呼称統制」ではありませんが、ようやく品質保証による輸出の道が開けたわけです。
また、日本ワインはこの10年、海外の権威あるワインアワードでも続々と表彰を受け、最近ではミシュラン3つ星のレストラン「NOMA」にオンリストされたり、ブルゴーニュの有力ドメーヌが函館にワイナリーを作ったりと、造り手の努力の甲斐あって、世界中で評価はうなぎのぼりです。国内のワイナリー数も400を超え、まだワイナリーのない佐賀県で出荷が始まれば、イタリアのように全都道府県でワインを生産する国になるのです。
一方で、私の怪しい計算では、直近の日本ワインの輸出金額は5.67億円ほどで、これは日本ワインの市場規模の約1.16%。日本ワインの課税数量が酒類全体の0.2%程度であることを考えれば、国内も海外も日本ワインの成長余力は十分なのです。
そんな前途有望な日本ワインを、私は地域活性化の処方箋にならないかと妄想を続けています。日本の農業が、製造業やサービス業のように企業化するこれから。規模の経済で投資と生産性の向上が進み、今問題となっている耕作放棄地も条件のいいところから徐々に生産地として再生されていきます。私は、条件のよくない遠方や山間の耕作放棄地をワイナリーにできたなら、必ず地方に賑わいを取り戻せるのではないかと思っています。
いかがでしょうか?週末にスーパーに行ったら、ワイン売り場の端にある国産ワインのコーナーでいろいろなラベルを眺めてみては。日本ワインと小さく書いてあるワインを選んで楽しめば、知らないうちに地方活性化に貢献できるようになる、かもしれません。
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