22期生の杵渕です。
皆さんはジェイチーニョという言葉を知っていますか。
私は20代の頃にサンバ好きが高じてブラジルに1年半ほど滞在していた事があります。
そこで出会ったブラジルの文化ジェイチーニョについて話したいと思います。
ジェイチーニョというのはブラジルの公用語であるポルトガル語で、方法を表す言葉ジェイトに縮小辞をつけたものです。
縮小辞は人名にもよく使われていてロナウドをロナウジーニョとか言ったりしますね。
和訳するとロナウドっちといった感じでしょうか。
直訳すると「ちいさな方法」ですが自分なりに意訳すると「ちゃっかり便宜をはかってもらう」とか「自分だけおまけしてもらう」などでしょうか。困難を特別な手段で解決するというような意味合いもあるようですが、感覚としては私の解釈の方が一般的じゃないかと思います。
ブラジル人はどうもNO(ポルトガル語ではナォン)というのが苦手らしく、「ね~たのむよ~」と言われるとちょっとぐらいならルールをはずれてもなんとかしてあげちゃうところがあります。身近な例でいうと、急いでるからと列に横入りさせてもらうとか、タクシーの運ちゃんに「メーターなしで目的地までこの金額でお願い」と頼んだりとか。秩序を重んじる日本人には信じられないでしょうが、ルールに対して良く言えば寛容、悪く言えばいい加減な国民性のブラジルでは頼めば実際なんとかなることがけっこうありました。
ジェイチーニョが成功して逆に驚かされたことがあります。
ブラジルの北部のバイーアというところからリオデジャネイロに飛行機で向かった時の話です。
バイーアでの宴会に興じていた私はあろうことか出発時間に空港にいませんでした。
空港に到着が遅れ、予約していた便に乗れなかったのは100%自分が悪いのは間違いありません。当時ポルトガル語はろくにしゃべれなかったので地球の歩き方をみて覚えた「ポルファボール(お願いします)」を空港のカウンターでただただ連呼するだけでした。空港職員に必死に頼み込んだところ(それはもう必死に笑)、なんと別の便に乗せてもらうことができました。
当時はよくそんなことしてくれたなと思いましたが、のちにジェイチーニョという言葉を知って納得がいきました。
それ以来、断られてからがスタートみたいな感覚がなんとなく身について、滞在中はブラジル人がときにはあきれるぐらいにしつこく頼みこむようになりました。もちろん日本では通じませんが、滞在中はその国の考え方・文化に染まるのも悪くないなと思います。
20年以上も前の話ですが、たまに当時の思い出がよみがえってきて、今もジェイチーニョは残っているのかなあと考えたりします。
コメントありがとうございます。
元来頼み事をするのが苦手なタチなので、ジェイチーニョ精神のいいところを思い出して、時には人に頼りたいと思います。
今では笑い話ですが、あの時は相当切羽詰まっていたため、「火事場のジェイチーニョ」が発動したんだろうと思います(笑)