19期生の遠藤孔仁です。台風19号が通過するなか、このブログを書いております。被害が大きくならないことをお祈りいたします。
さて、最近、「えっ」と思うニュースを目にしました。それは、イノベーション・マネジメントシステムが国際規格(ISO)として発行されたというものです。
マネジメントシステムといえば、品質マネジメントシステム(ISO9000)、環境マネジメントシステム(ISO14000) をはじめとして、様々なマネジメントシステムの規格が発行されております。その流れからすれば、そうか、ついにイノベーションも国際規格となったのか、とスルーしそうになりました。次の瞬間、いや、ちょっと待てよ。イノベーションだよなぁ。標準化とは一番遠い世界のものではないかと。すこしカオスの頭の中を整理するために、イノベーション・マネジメントシステムなるものを調べてみましたので、簡単ですが、ご紹介したいと思います。
2019年7月に発行された国際規格は、ISO56002「イノベーション・マネジメント-イノベーション・マネジメントシステム-手引」となります。これは、ISO9001やISO14001のような認証規格ではなく、イノベーションに関するベストプラクティスから抽出したマネジメントシステムのガイダンスという位置づけとなります。
イノベーションでイメージするのは、ベンチャーのようなスタートアップ企業が独自のアイデアをもとに試行錯誤と偶然が重層化し、生み出されるものというものが一般的かと思います。一方で、既存企業におけるイノベーションの事例はいくつかあるものの、既存企業においてイノベーションを生み出すことは難しいということは世界各国の共通課題としてありました。そうした問題意識のもと、世界59カ国により規格設計が行われ、2019年に産業史上初のイノベーション・マネジメントシステムの国際規格が発行されました。
そのため、この規格は新規事業を生み出すためのマネジメントシステムという理解すると腑に落ちるものに思えます。
ISO56002の規格の構成は、他のマネジメントシステムの構成を踏襲していて、次のようになっております。
【0】 : 序文
【1】 : 適用範囲
【2】 : 引用規格
【3】 : 用語及び定義
【4】 : 組織の状況
【5】 : リーダーシップ
【6】 : 計画
【7】 : 支援体制
【8】 : 活動 : イノベーション活動を5段階の非線形(non-liner)の活動と定義。
1. 機会の特定
2. コンセプトの創造
3. コンセプトの検証
4. ソリューションの開発
5. ソリューションの導入
【9】 : パフォーマンス評価
【10】: 改善
【1】 : 適用範囲
【2】 : 引用規格
【3】 : 用語及び定義
【4】 : 組織の状況
【5】 : リーダーシップ
【6】 : 計画
【7】 : 支援体制
【8】 : 活動 : イノベーション活動を5段階の非線形(non-liner)の活動と定義。
1. 機会の特定
2. コンセプトの創造
3. コンセプトの検証
4. ソリューションの開発
5. ソリューションの導入
【9】 : パフォーマンス評価
【10】: 改善
出典:「日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針」(経済産業省)
日本国内においては、大企業・中堅企業のイノベーションを支援するアクセラレーターとして、一般社団法人Japan Innovation Networkが、イノベーション経営の普及、実践、基盤整備を活動を担っております。
この流れは、今までクローズ志向であった大企業が、イノベーションを生み出すために、規模に関係なく連携し、価値を創造するといった新しい機会を創造するものにも思え、もう少しこの動きを追いかけてみたいと思います。
以上
「イノベーション」と「標準化」。コトバだけとらえると確かに相反しそうにも思えますが、「イノベーションを生み出しやすい組織モデルを定義する」という感じでしょうか?
将来的には入札参加条件などに「『ISO56002を取得していること』など入ってくるんだろうな・・」などと思ったりしました。
自前主義とか個人依存では戦えないからオープンイノベーションをやっていこうと、そのために今回の規格を活用して既存組織からでもイノベーションを起こしていきましょう、そんな感じでしょうか。
なんか日本のためにあるような規格だなーと感じました。
今後の動向が楽しみです。
花開くと画期的ですね。