Sign 'O' The Times / Prince (1987)
素晴しい完成度を誇るプリンス(Prince)の名盤。80年代に録音された音楽って、今あらためて聴くとかなりその時代的な音があからさまに出て、どうしてもノスタルジックなポップとして記憶される事が多いが、この作品は今聴いても、一部のサンプリング音は例外として、素晴しいクオリティを持ち続けている。それほど当時の一般的な音楽よりも先を行っていたんだろう。収録された一曲、一曲がキラキラ輝いている感じ。プリンスの最高傑作という人も多いようだ。
自分がこのアルバムを最初に聴いたのはアメリカ、それも彼の本拠地ミネソタで。まずFMでプリンスの新作だと言う事で1-1がかかったが、その時の驚きたるや…。スッカスカな音とリズムなのに不思議な存在感。一度聴いたら耳について忘れない。でもチャートを駆け上ったのは信じられなかったな。いくらプリンスでもこれは売れないと思った。それほど当時の周りの音楽と異質で、特にFMなんかを聴いていると対比で浮き彫りにされていた覚えがある。友達なんかはこの曲のプリンスのおかまチックな歌い方をよく真似してたな。
それから日本に帰ってきて、兄の買っていたアナログ・アルバムを聴いた。ジャケットとおりの猥雑でサイケデリックでバラエティに富んだアルバムだった。でもまだその時は2枚組っていうヴォリュームが詰め込み過ぎみたいに感じていて名盤とまでは感じていなかった。そのように感じるのは彼が次々とアルバムを量産したり、改名騒動を起こしたりしたずっと後のこと。ダイ・ハードなファンではなかったが、ひと通り聴いていたので、聴き返して、やっぱりこの時期のプリンスはいいなぁと思うようになった次第。この時期のライヴは生で見てみたかった。
中古店にて購入(¥700)