Destroyer / Kiss (1976)
Kiss(キッス)の最高傑作と評されることもある通算4枚目のアルバム「Destroyer(邦題:地獄の軍団)」。最近「Destroyer-Resurrected」と題したリミックス盤が出て話題になった(未聴だが、別物との噂も)。プロデューサーにボブ・エズリン(Bob Ezrin)を迎えて、SEを使ったり、オーケストラを使ったりと新機軸に挑んでいる。ボブ・エズリンの関与した作品と言えば、自分はアリス・クーパー(Alice Cooper)の「Killer」(1971)や、ルー・リード(Lou Reed)の「Berlin」(1973)といった傑作アルバムで聴いている。そちらを知っているので、アルバム冒頭のギミックでも驚きはなかった。
アルバム収録曲の中でも1「Detroit Rock City 」、3「God Of Thunder」、7「Shout It Out Loud」、9「Do You Love Me」などは、ほぼ毎回演奏される定番曲となっていることからも、このアルバムの充実度が分かる。ただセカンド・シングルが、5「Flaming Youth」だったのは知らなかったので驚いた。何でこの曲が?(明るくて分かり易い曲だけれど…)。シンプルでストレートなロックンロールから脱皮しようとしたアルバム製作は、ボブ・エズリンの厳しさもあって色々な衝突を生んだらしいが、現在ではメンバーも”通らなければならなかった道だった”と認めているようだ。こうして遡って聴いていると、これでも充分にシンプルでストレートなロックンロールなので、特に当時のファンが戸惑ったかどうかは知らないのだが、実際にはどうだったのだろう。
70年代の様々なアーティストの他の名盤と同様、このアルバムも全編で40分弱という尺。この尺っていうのも重要だ。CD時代の不幸は、70分収録出来る為にアルバムの尺の標準を伸ばしてしまったこと。小品を詰め込んで内容が薄まったアルバムを3~4年に1度出すよりも、凝縮された濃厚な内容のアルバムを1年か、2年に1度出した方が絶対にイイのだ。
中古店にて購入(¥380)
- CD (2011/10/12)
- Disc : 1
- Label : USMジャパン