一宮市近辺の近代建築を巡った際に寄った和菓子の老舗「津島屋」。賑やかな駅前から南に下った、緑の多い「地蔵寺」の脇に店を構えている。建物の壁面には、「創業明治十一年 御菓子所 津島屋桃陰」とある。”桃陰”というのが屋号なのか、あるいは雅号なのかどうかは知らないが、店の中に入っても各時代の歴史ある写真が飾ってあり、格調の高さを感じさせる。ガラスケースの中には様々な和菓子が並んでいたが、その中から好物の「草餅」と「やぶさめ」という最中を選んだ。
「草餅」の皮はとても滑らかで、中はつぶ餡。季節柄か、よもぎの香りこそやや少な目だがシンプルで間違いのない旨さ。一方の長方形をした最中の「やぶさめ」は艶のあるこし餡が入っていて、甘みも強め。どうして「流鏑馬(やぶさめ)」なのかなと思っていたら、同じ一宮の「真清田神社」に流鏑馬神事があるのだった。どちらも華やかさこそ無いものの、質実剛健といった感じで旨い菓子だった。(勘定は¥292)
↓ 「一宮市建設部維持課分室倉庫」(旧・伝染病隔離病棟)」(大正11年・1922・建造)。現役で使われているのが凄いが、元病棟らしく木造平屋建。こんな建物の存在はshortwoodさんのブログで教えてもらわなければ全然知らなかった。
↓ 「旧・起第二尋常小学校奉安殿」(昭和4年・1929・建造のち移設)。当然小学校の敷地内にあるだろうとウロウロしてしまったが、隣の三条神社境内に移されている。奉安殿とは戦前に両陛下の写真(御真影)と教育勅語を納めた御堂のこと。※国の登録有形文化財
↓ しばらく見ないうちに「一宮市役所西分庁舎(旧・名古屋銀行一宮支店)」(大正13年・1924・建造)が改造されて、4月から「オリナス一宮」として生まれ変わっていた。
↓ 建物の横と裏に遊歩道やトイレ、広場が造られ、建物は多目的イベントスペースや会議室として使われていくのだとか。これも古い建物を残すために知恵を絞った解決策。素晴らしい。
御菓子所 津島屋桃陰 (津島屋本店)
愛知県一宮市本町通8-18
( 一宮 いちのみや 津島屋 津島屋本店 つしまや 津島屋桃陰 とういん 御菓子司 鈴木禎次 御真影 天皇 皇后 教育勅語 近代建築 登録有形文化財 )