Vacatino Club / Aerosmith (1988)
80年代には「12インチ・シングル」というものが一世を風靡した。もちろんアナログ・レコードのことで、33・1/3回転のLP盤と違い、ほとんどが45回転。LPと比較して溝の幅は広く回転も速いので情報量が多く音が良い。「Long Version」、「~ Mix」とか「~ Version」という通常のヴァージョンと違うものが多数作られて発表され、ダンス・フロアーのDJを中心に利用された。自分は一連の”ヴァージョン”が大好きだったので、当時色々集めたが、だんだん突飛なもの、例えばオリジナル曲とかけ離れたメロディを使用したヴァージョンが作られるようになり、中にはオリジナル曲の欠片も感じられないようなものが乱発され、CD化の時代に入ったこともあってだんだん面白みが無くなっていったように記憶している。
このエアロスミス(Aerosmith)の日本限定発売されたミニアルバムは、彼らの復活作「Permanent Vacation」からカットされたいくつかの12インチ・シングル作品と、シングルB面で発表されたアルバム未収録曲を足した便利な1枚。オリジナル・アルバムは、再結成はしたものの燻り続けていた感のあったエアロが、外部ライターを導入することで息を吹き返し、その後の大躍進となる分岐点となった作品。当時来日もして、横浜文化体育館まで見に行った覚えがある。
12インチ・シングル・ミックスはまあまあの出来。自分はどんなアーティストの派生作品でも、”ただの”ロング・ヴァージョンが一番好きなので、ここでも03が一番いいかな。何と言っても、カントリー調のアルバム未収録曲04の出来が素晴らしい。アルバムにはそぐわなかったかもしれないが、アメリカのルーツ音楽に根差したエアロのロックを物語るようで楽しい作品(派生してカントリーの大御所Willie Nelsonと共演したヴァージョン「One Time Too Many」もある)。この曲、エアロの中で自分が一番好きな曲「Chip Away The Stone」の作者Richie Supaの作品でもある。これ聴けるだけでもいいや。
01 Dude (Looks Like A Lady) (Extended Rockin' Dude Mix)
02 Dude (Looks Like A Lady) (Dude This Way) (A Cappella)
03 Rag Doll (Extended Vacation)
04 Once Is Enough
05 Angel (New AOR Mix)
オークションにて購入(¥580)
- CD (1988/12/10)
- Disc : 1
- Label : ワーナーミュージック・ジャパン