愛知県瀬戸市を散策。鄙びた「宮前地下街」に差し掛かる。地上なのに地下とはこれ如何に?(→商店街の東側が小高くなっているからかな)。ほとんどの店にシャッターが降りていたが、一角だけ人の気配。近づくと鰻屋「田代」。もちろん名前と評判は知っていたが、場所は全然知らなかったので「おぉ、ここがかの有名な…」と近寄ってみる。半端な午後遅い時間だったので、もちろん店には暖簾が掛かっておらず「準備中」の札。並んでいる人も居ない。軒先には湯沸し用の七輪が並んでいた。店先の焼き場では主人がせっせと鰻を焼いていたので、外から「何時からですか?」と尋ねると「食事?どうぞ!」と幸運にも中に入れてくれた。中に入ると先客が居る不思議(笑)。年季の入った店内は小さいテーブル3つとカウンター(使ってるかな?)のみでこじんまりとしている。壁には色紙が沢山。品書きは「鰻丼」と「長焼」のみと潔い。給仕のお母さんに「鰻丼・並」を注文した。
じゃんじゃん焼いているのは持ち帰り客の分のよう。電話も次々とかかってくるし、引き取りもひっきりなし。主人は焼きながらも次々と鰻を捌いている。まな板の上で目打ちしてギリッという音と共に一気に割く。最近の鰻屋は大店ばかりで、こうして間近に調理を見ることは少なくなったが、なるほど上手いものだ。
しばらくして待望の「鰻丼」が登場。まずは鰻にかぶりつく。照りがあって艶良く、厚みもすごい。これだけの厚みを経験したのは納屋橋の「イチビキ」以来かな。外はカリッと、身はプリプリで素晴らしい。皮と身の焼き具合も良し。たれはやや濃いめ。身が厚いのでたれも濃いめでないと合わないのかも。それでも鰻の身の味がダイレクト過ぎて苦手な人は居るかもしれない。素晴らしい鰻丼だった。ちなみに山椒は最初から置いていないようだ。こういう野趣溢れる地焼きの旨い鰻を食べてしまうと、関東で食べる”蒸し”の鰻は、上品だが頼りなく感じてしまう(関東の人はこういうの食べるとどう思うのかな)。唯残念だったのは漬物と吸物。守口漬だったら言うことなしだったが、たくあん。それに吸物は明らかに市販品の味。これなら無い方が良かったかも。(勘定は¥2,700)
↑ 商店街の裏通りへ。スクラッチタイル壁が素敵な「旧・若松屋洋服店」(建築詳細不明)。現在は食器を販売しているよう。
↑ 何だか不思議な感じの風情が残る三差路。昔はどんな景色だったんだろう。近くの建物(写真上右)には「屋根神さま」が祀ってあるが、屋根からは下ろされたものの高さはキープ(笑)。
うなぎ 田代
愛知県瀬戸市深川町13
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