愛知県瀬戸市内を流れる瀬戸川沿いに風情ある古い建物が建っている。こちらは大正時代に建てられた和菓子屋「川村屋賀栄」。江戸時代末期の慶応年間創業で、現在7代目だとのこと。昔は川沿いをきっちり建物が埋めていただろう通りもすっかり整備され、この店の周囲も更地や駐車場になって空いているため、やや寂しそうに建っている。総二階で奥は更に広そうだ。一宮市に「川村屋賀峯総本店」というこれまた歴史ある店があるが、何か関係があるのだろうか。年季の入ったガラス木戸を開けて店の中へ。ひっそりとして歴史と風格の感じられる普請や飾り物、階段箪笥など、見どころが一杯だが、そろそろ店じまいになろうかという時間のよう。まだいくつもの和菓子が並んでいたが、その中から”瀬戸物”に盛られていた名物の「瀬戸川饅頭」と外に看板の出ていた「苺大福」を購入した。
「瀬戸川饅頭」は、いわゆる酒蒸し饅頭。中はこし餡で上品な甘さ。ほのかな酒の香りがいい。さすがに蒸したてではなく置いてあったので、皮が少し硬くなりつつあったがそれもまた良し。蒸し直すことなくそのままいただいた(焼いたり、揚げてもいいのだとか)。苺大福はぽってりとしているように見えたが、食べてみると皮が薄めで柔らかい。苺の酸味と餡の甘さのコントラストは、やはり老舗も唸るアイデアだ。次に寄ったら「くさ餅」「わらび餅」あたりを食べてみたいナ。(勘定は¥700程)
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↓ 同じ通り沿いにある陶器の店「丸一国府商店(旧・丸一商店)」(明治44年・1911・建造)。創業が明治5年(1872)で、100年以上犬山城主に仕えていた家臣が起した陶磁器販売の会社なのだとか。木造4階建てで、最上部の望楼は床の間のある10畳程の部屋なのだそう。昭和になって番頭だった国府氏が事業を引き継ぎ現在の店名になった。
↓ 夕闇が迫った時の雰囲気もなかなか。平成に入ってからの大火で2階建ての倉庫を消失しているとのこと。よくこの建物が残ったものだ。
↓ 末広町に建つ「旧・蔵所交番」(昭和14年・1939・建造、移築復元)。自分が訪問した最近まで観光案内所として使用されていたが役目は終えたもよう。修復された外壁がちょっと惜しい。
愛知県瀬戸市栄町25
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