The Live Anthology / Tom Petty & The Heartbreakers (2009)
トム・ペティ(Tom Petty)がまだ存命中の2009年に発表された4枚組ライヴ・アンソロジー(トムが亡くなったのは2017年)。どういう経緯で発売された作品なのかはよく分からなかったが、27年間に渡るライヴ演奏を収録しているスリップケース入り紙ジャケ4枚組。オリジナル・アルバムは4~5枚持っているものの自分が彼らをしっかりと聴き始めたのはまだ最近なので、こういうアンソロジー箱物についていけるかは分からなかったが、オークションに適当に入札しておいたら安価で手に入れる事が出来た。
収録されているのは1980年から2007年までのライヴ計48曲。意図があるのか分からないが、時系列ではなくランダムに収録されている。一部を除いてほとんどがアメリカ本国でのライヴ録音。年代の差が心配だったが、録音状態がいいのか、昔から演奏スタイルや声質が変わらないのか、意外なほどに違和感がなく安心して通しで聴くことが出来る。やっと最近覚えた彼らの代表曲、有名曲もちゃんと収録されていて充分楽しめた。派手なヒットとかはあまり無かったバンドなのだが、観客の熱狂を含めて聴いていると、やはり”ライヴ・バンド”なんだなァと感慨を深くする。日本には1度だけ単独で来日したことがあったのかな。
トムのヴォーカルは正直そんなにインパクトのある声でもないのだが、少しダラッとした気怠い歌い方やアクセントがだんだんクセになってくる。髭面の晩年は別として容姿も一見ひ弱そうな感じなのだが、特に映像で見るライヴではいつも男気に溢れた感じ。自分はこういうアメリカン・ロック、特にアメリカ中西部、南部の白人ミュージシャンの音楽は得意でなかったが、最近聴けるようになってきた(でもBruce Springsteenなんかは今でもちょっと苦手)。ヒップホップなど黒人の音楽文化に完全に押されてしまっている現在の白人労働者階級の代弁者となっていたのかも。ネイティヴでないとダイレクトに歌詞が響いてこないのが痛いが仕方がない…。ここでの演奏を聴く限り、ハートブレーカーズの演奏は硬軟使い分けて完璧に彼の音楽をサポートしているように聴こえる。自分が思っていたよりも音楽的な幅も広い。意外とピアノがキモだ。なぜ彼がバンドを離れてソロ名義で作品を作ったり、前身バンド(Mudcrutch)を晩年になって再結成させたのか分からないが、こうしたしっかりとした屋台骨があっての活動だったのだろう(メンバーの変遷も驚くほど少ない)。
オークションにて購入(¥2,085)
- CD (2009/11/23)
- Disc : 4
- Format: Import
- Label : Reprise / Wea