Bitches Brew 40th Anniversary Collector's Edition / Miles Davis (2015)
ジャズ史を語るうえで外せない1970年の問題作「Bitches Brew」(ジャケット写真下)。エレクトリックを導入したマイルス(Miles Davis)が早い段階で到達した極み。もちろんこれをジャズではないという人はいまだに居るだろうし、自分もジャズかと訊かれるとちょっと違うと思ってしまう。こちらはそんな名作の2010年に発表された40周年記念盤からアナログ盤を抜いた新装版3CD+1DVD。発売は2015年。名盤だけに1998年には「The Complete Bitches Brew Sessions」なるボックスも発表されたが、水増しというかそれ入れちゃっていいの?という時期の曲も収録されてファンからは疑問符が付いた。こちらはオリジナル・アルバムに加えて別テイクとシングル・ヴァージョン、そして70年Tanglewoodでのライヴ、DVDは1969年コペンハーゲンでのライヴ映像という内容で時期的には妥当。
たまに聴いても都度ゾクゾクするオリジナルのスリリングな冒頭。今では当たり前だが、このレコーディングは録音された素材をプロデューサーのテオ・マセロ(Teo Macero)が編集しまくった言わばツギハギ。当時はまだ珍しかった手法だそう。テオの名前はマイルスと併記されてもいいくらいの貢献度だ。出来上がった音を聴いたら演奏したメンバーも面食らっただろうなァ。これがどの程度当時マイルスの頭の中で出来上がっていた音楽とシンクロしているのか分からないけれど、完成した音楽はジャズの垣根を軽々と飛び越えている。ただアルバムを通して聴くとどっと疲れが(笑)。
Tanglewoodでのライヴは映像も残されている有名音源だけれど、プロモーターのビル・グラハム(Bill Graham)所有の音源を大量に発表したWolfgang's Vaultの音源と同じかな(←ライナー読め)。あれは2000年代初め頃だったろうか。急にサイトで様々なアーティストの貴重なサウンドボード・ライヴ音源が次々と発表され、当時自分はリッピングで寝る暇も無かった(笑)。即興演奏の緊張感漂う中、マイルスも吹きまくっているし文句なしにカッコイイ。
コペンハーゲンでのライヴ映像はマイルスがカラフル(過ぎる)なシャツを着ている有名なもの。さすがオフィシャル、以前観たものより画像の解像度が上がっている。ステージ上は観客の存在はどこへやら、メンバーの間に緊張感たっぷりの張りつめた空気が漂っており、メンバーに演奏を任せたとばかりにマイルスが勝手にステージを外したと思えば、途中で入って来てあのトランペットの音色で均衡を破るひと吹き。カッコイイ。
ネット・ショップにて購入(¥1,746)
- Label : Columbia
- ASIN : B00TCAM9EO
- Disc : 4
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます