第32期囲碁名人戦七番勝負の第4局は10月10日から静岡県伊豆市で打たれ、挑戦者の張栩碁聖(27)が高尾紳路名人(30)に黒番中押し勝ち。対戦成績を3勝1敗とし、名人位奪還へあと1勝とした。第5局は17、18の両日、神戸市で。
1日目終了間際の黒93からの戦いが勝敗を分けた。コウの絡む攻防のなかで挑戦者がリードを奪い、最後は、しのぎ勝負に出た名人の大石を召し捕って勝ちきった。
<高尾名人の話>
白104が敗着でしょう。最後は上辺のしのぎに賭けましたが、おそらく生きはないと思います。
<張挑戦者の話>
1日目の白88あたりまではいい勝負とみていました。その後の難しい戦いで、ちょっと得をしました。
(朝日新聞より抜粋)
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本局は高尾名人が実利、張碁聖が厚みと本来の持ち味とは逆の展開で進行しました。
勝負の分かれ目はコウ絡みの攻防のようでしたが、コウといえば張碁聖の得意とするところ、高尾名人としては自分の土俵で戦うべきではなかったでしょうか。
これで高尾名人はカド番に追込まれましたが、ここからが名人の真価を問われるところでしょう。
先週、伊豆市での第4局に続き、明日から神戸市で第5局が始まります。熱戦を期待しましょう。
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今回の対局地は静岡県伊豆市の「鬼の栖(すみか)」。何とも恐ろしいネーミングですが、文芸の鬼才たちの常宿を「鬼の栖」と呼んだところからの由来のようです。
伊豆市は修善寺町・土肥町・天城湯ヶ島町・中伊豆町が2004年4月に合併し、誕生しました。
現在もそれぞれの地名は残っているでしょうが、由緒ある地名が風化しないようにしてほしいものです。