岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

備前法華の村

2014-06-07 18:06:26 | 岡山
私が育った岡山の村にはお寺はありません。
神社もありません。
その代わりにとってはなんですが、お堂がひとつあります。
村の人々はそのお堂のことを「おそっさま」と呼んでいました。
村の中心で秋祭りの時には提灯が飾られ、だんじりで村中を周り、尾針神社に行きました。
お堂の中には仏像があるわけではなく石碑が建っているだけでした。
子どもの頃は、「おそっさま」がどんな漢字なのか、あの石碑はなんなのか、知りたいなんて思いもしませんでした。

長い間、岡山を離れているうちに両親が老いていき、介護が必要になりました。
いわゆる「放蕩息子の帰還」となってしまいました。

そうして、子どもの頃の記憶が身近になってきたのです。
気がついたことは、大人として知っておくべき村や町の知識に欠けていることです。
子どもの頃のままの知識で生きていくわけにはいきません。

まず、子どもの頃には宗教の知識はありません。
特に他宗教と比較する視点はありません。
お経を聞いても、万とある経典の中のどれなのかを考えるということはありません。

お経は、「なんみょうほうれんげきょう」でした。
これは南無妙法蓮華経ですね。
日蓮宗(法華宗)です。
こうして、改めてこの村は日蓮宗の村だと理解できました。
最近の話です。

ならば、「おそっさま」は、「お祖師さま」ではないのだろうかと思い当りました。
これが正解なのかどうか、確かめていません。
わが家の現状は、キリスト教徒やら、よくわからない宗教を信じる者やら、信仰を持たないものなどが混在しています。
が、かつては「なんみょうほうれんげきょう」と唱えていた日蓮宗の家だったのです。

岡山は備前法華といわれるほど日蓮宗の信徒が多いと言われています。
「備前法華に安芸門徒」といわれるほどです。
安芸門徒とは、浄土真宗門徒のことだそうです。
これは、布教していった伝道者の影響ということになります。

私の家の周りには、大きな日蓮宗の寺院が二つあります。
妙林寺と妙善寺です。
この二つの寺は同じ日蓮宗とはいえ、まったく異なる歴史を持っています。
これは次回に書いていきたいと思います。

※数百年の歴史がある道。村の主道路だった。この先左側に「おそっさま」がある。
細くて、ぶれるのが古い道です。



最新の画像もっと見る