岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

浅田訴訟第5回口頭弁論・報告集会がありました。

2014-07-09 15:35:46 | 「65歳で障がい者を差別するな」浅田訴訟
7月9日午前11時30分より、岡山地裁にて浅田訴訟第5回口頭弁論がありました。

そもそも原告である浅田達雄さんは、何を訴えておられるのか。

私には、提訴という裁判行為とともに社会に対しても、このような理不尽なことがあってよいのかと問いかけておられるように思われます。

ご存知のように、障がい者の方は自立支援法は第一条にあるように「障害の有無にかかわらず国民相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを」を目的としています。
また、一条の2では、「日常生活または社会生活を営む上で障壁となるように社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的計画的に行われなければならない」と書かれています。

自立支援法は、障がい者の方の長い行動(運動)による成果とも言える法律です。もちろん、問題点や課題はありますが。

障がい者の方は、この法律を根拠法に日常生活(社会生活や社会参加)を行っています。
支援方法も幅広く考えられています。
それは、世界の障がい者運動とも深く関わっています。
このような自立支援法は障がい者の方が生涯に渡って伴走する法律なはずです。

いや、はずだったと言わざるをえない状況になってしまったのです。

自立支援法では、65歳に到達した障がい者の方には介護保険制度を優先的に使うように書かれています。

(他の法令による給付との調整)
第七条  自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)の規定による介護給付、健康保険法 (大正十一年法律第七十号)の規定による療養の給付その他の法令に基づく給付であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受けることができるときは政令で定める限度において、当該政令で定める給付以外の給付であって国又は地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において、行わない。

条文は分かりにくく書かれていますが、簡単にいえば、介護保険給付を優先的に使いなさい。ただ介護保険給付にない給付は自立支援給付から受けてくださいよと。

ああー、そうですかと思われるかもしれませんが、そうは話は簡単ではないのです。

まず、介護保険法と自立支援法は理念からして全く違います。

そのため、介護給付と支援法給付も、質的に異なっています。
例えば、自立支援法は社会参加ができることが当然の権利としているので外出支援は当たり前です。

でも、介護保険の給付者には、そのような権利は与えられていません。病院に行くのさえヘルパーの支援は受けられません。
介護保険では「見守り」さえできないのです。

介護保険は、高齢者支援の制度としては、まことに不完全です。
高齢者の方にとって失礼な(人権軽視)制度だと思っています。

この不完全で失礼な制度を、65歳に到達した障がい者の方に適用しようとするのです。

これは明らかに弱いものいじめです。
ハラスメントです。

しかし、岡山市の介護保険担当職員は、自分たちが職務や職権で行っている行為が、そのような不完全て失礼なことだと、はなから思っていないのです。

今までの浅田さんに対する市の行為は 裁量権を認められた行政マンが行っていいことではないのです。
浅田さんが怒るのは当然です。

全国の障がい者の方々にとって、65歳になるということは大変なストレスを抱えることなのです。

誕生日は、いくつになっても楽しいものですが、障がい者の方の65歳誕生日は 恐怖なのです。

ほとんどの方は、浅田さんのような行動を取ることができません

いわゆる泣き寝入りをせざるをえないのです。

浅田さんのように支援打ち切りになっては生きていくことができないからです。

「私に死ねというのか」と市に抗議出来る人など、稀です。

私など、へなへなになってしまうでしょう。

誰かが 命がけで 抗議をする。

そのようなことが必要なのです。

そして 浅田さんを支援することこそ 人間として最低限のつとめだと思っています。

皆さん、裁判を傍聴しましょう。

次回は、9月3日(水)11時30分  岡山地裁です。




浅田さんと、支援する会の吉野さん(手前)

浅田さんは、「65歳になったらどうして1割負担になるのか。」「市は私を死んでもいいと思っているか」と訴えられた。
今まで、浅田さんはそのような状況を体験させられている。
決して大げさな発言ではない。

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