岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

NHK連続大ドラマ『坂の上の雲』の第1話「少年の国」を観ました。

2009-11-29 22:09:23 | 日本の仲間
原作を読んだのは20年以上前のように思う。
このドラマは司馬遼太郎の歴史観、明治観がとてもよく出ていた。
語りの部分は小説そのままではないだろうか。

秋山兄弟や正岡子規が相次いで上京するのは明治10年代。
東京への憧れと時代に遅れまいと意気込む若者が全国にいた。
だが明治維新で幕軍側についた藩の士族にとって立身出世の道は厳しいものだった。

石井十次もほぼ同年代の若者だった。
彼も反乱士族側の家の出身だった。
自由民権運動にシンパシーを感じていた。

彼も若くして勉学のために上京したが病を得て宮崎に一旦帰った。
往復とも海路である。
船しかなかった。
秋山兄弟や正岡子規が乗った船と同じだと思われる。
神戸まで瀬戸内海を進み、神戸からは熊野灘を大回りしていくしかなかった。
数年後には神戸まで東海道線が伸びてくるわけだから、文明開化のスピードは驚くほど速い。

当時の若者は西南戦争に間に合わず、自由民権運動には若すぎた。
遅れてきた少年であり、政治家を目指そうにも道は閉ざされていた。

石井十次は医師を目指すのだが、秋山兄弟は貧困のため官費の学校を目指した。
兄は陸軍大学校、弟は海軍士官学校である。

明治10年代という時代がよく描かれているドラマと感心した。

次回が楽しみだ。

※写真は国分寺五重塔。江戸時代の建立。

追加
「坂の上の雲」に関するブログ記事がありました。
共感する部分が多いです。
このドラマを見ていると、明治の一側面が強調されていることも確かです。
司馬遼太郎の「青春ドラマ」と捉えて見るべきでしょう。
無批判に見てはいけないと思います。

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