岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『超電導リニアの不都合な真実』 川辺謙一著 読みました。

2025-03-16 08:04:47 | リニア新幹線

リニア中央新幹線は当初2027年に開業する予定でしたが不可能になったので2035年に延期されることになった。

というニュースを聞いた覚えがあります。

主な理由は、南アルプスのトンネル工事が遅れている(静岡県の反対にあって)ということだったと。

確かに問題です。環境保護という面でも反対意見が多いと思います。

私も反対です。

しかし、リニア新幹線の開業延期は、それだけが理由ではないと考えています。

リニアの新幹線の開発自体も遅れているのでしょう。

 

図書館で『超電導リニアの不都合な真実』 川辺謙一著に出会いました。

川辺さんは、交通技術ライターです。技術者としてのキャリアもお持ちでいわゆる「技術屋」です。

考え方がオーソドックスで飛躍がありません。信頼に足る思考と論理体系になっています。

第一章は、「心配になるほど複雑な超電導の仕組み」です。

この章で超電導に仕組みが書かれていますがなかなか理解できません(超電導と常電導があるのですね)。

 「走行原理は特殊で複雑」。

そうだと思いますね。

走行方法は二通りです。走りはじめはゴムタイヤでの走行。時速150kmを超えると10cm浮揚し超電導リニア走行をする。

航空機のタイヤ走行と滑空の関係に似ています。

しかし、もっと複雑です。

航空機の歴史は100年です。リニアはまだ試運転段階でしかありません。

リニア走行の新幹線が発案されてから約50年が経ちますがまだ目処が立っていないのが現状です。

 

営業運転で人の生命を載せて走るわけですから安全性の確立が絶対条件です。

そのためには、今の50km程度の山梨実験区で試験走行しているだけではまことに心もとないです。

今の新幹線の技術とは異なる原理で走行するわけです。

技術の積み重ねが活きません。

時速500km走行の風圧。さらに、すれ違う際の倍する風圧。

気圧の管理が難しい。耳がツンとする問題ですね。トイレの設置も大きな課題。

リニアは山岳地帯を走るために高低差が生じ、この耳ツン問題のクリアが必須です。

まだまだ実験段階でしかありません。

当初の開業予定は27年(再来年)だったことを思えばとんでもない話です。

例え、全線開通しても、試験走行期間がでどれだけかかるのかも見当がつきません。新たな課題が発生することも予想されます。

 

この本では、このような困難なプロジェクトがなぜ進められてきたのか、詳しく書かれています。

大きな要因はJR東海が7兆円ともいわれる費用を負担できることです。

一交通事業者が進める大事業なのですね。

このJR東海のみが不当とも思える利益を上げられる民営分社化に問題があったのは確かです。

東京~名古屋までは何とか資金繰りができるようですが大阪開通までは無理です。

国の支援が必要です。財政投融資という手段です。

 

これで国家的なプロジェクトに格上げされたということになります。

東京五輪や大阪万博と同じです。

始めたら止めることのできない日本的な体質が発揮されるのでしょうか。

 

大阪万博には行きません。

リニア新幹線が例え開業しても、もうこの世にはいません。

 

お読みいただきありがとうございました。

 

ウクライナとガザに平和を!



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