岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「吉本隆明の経済学」 中沢新一さんの解説を読む

2012-03-28 16:35:02 | 日本の仲間
多くの日本人に影響を与えた吉本隆明さんがなくなった。
吉本さんの書籍は理解できにくいものもあれば、とても平易で気軽に読めるものがあった。
その意味では、もっと多くの読者のこころをつかんでもおかしくない人だった。

朝日新聞3月18日付、ニュースの本棚で人類学者の中沢新一さんが「吉本隆明の経済学」について解説している。
このような記事は吉本さんを理解する助けになる。
ありがたい。
以下は勝手なメモです。

「吉本隆明の経済学」

吉本さんにはまとまった経済学の本はない。
しかし、吉本さんは独力で経済学の一つの体系をつくった。
それはヴァーチャルな空間の中に隠されていて、いまだ全貌をしめしていない。

初期の「言語にとって美とはなにか」で、文学における「価値の増殖」について書いている。
「これは上着です」という表現から、「これは天使の上着です」というときには価値の増殖が起こっている。
これが文学表現の領域に入るという。

吉本さんの経済学がもっとも威力を発揮したのは、現代資本主義のウェイトが「生産」から「消費」へ転換しだした時期だった。
『ハイイメージ論』は、「世界の同時代のどんな思想家も凌駕する、大胆な思考」だった。

「交換の経済から贈与の経済へ」
吉本さんの主要なテーマに農業があった。
現代の農業は交換経済では成り立たない。
贈与経済の仕組みが必要だ。
「農業者から食料を得るために、都市生活者は等価交換によらないで積極的に自分の富をあげてしまう、贈与のやり方を採用する必要がある。
そうなると経済社会は根底から変化していくことになるだろう」

私たちは吉本さんの遺産から学ばなくてはならことがいかに多いか。

あらためて偉大な先人に思いをはせたい。

合掌


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