岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「アララトの聖母」を観る。お薦めの映画ですね。その1。

2010-08-01 11:52:14 | 世界のなかま



2002年制作のカナダ映画です。
アララトはアルメニア人にとっての心の故郷です。

この映画は、1915年のトルコ軍によるアルメニア人大虐殺を真正面から扱っています。

監督を始め多くのスタッフ、キャストがアルメニア人か、アルメニアに繋がりを持った人々です。
とても複雑な異なる時間経過と人間関係から構成されています。

アトム・エゴヤン監督自身が脚本を書いており、約2時間という時間的制約の中でどのように
描くかが綿密に考えられています。
2時間という時間はこの主題の多い映画として非常に短い。
そこで、監督の考え(思い)を凝縮した時間で提示し、映画を観終わった後に時間をかけて
考えてみてほしいとの思いでしょう。


時代は、1.現在(21世紀に入りかけた頃) 2.1930年代  3.1915年頃ですが、
現在も、2年の前後があります。

そして、登場人物の構成も複雑です。

監督は、まず1915年(だけではない)のトルコ領内で、アルメニア人がどのような虐殺にあったのかを
知ってもらいたいと考えています。

虐殺された人の数は100万人以上といわれます。
トルコ軍は、、アルメニア人を民族浄化(抹殺)しようとします。
かろうじて生き残った人々は世界に「故郷喪失者」(ディアスポラ)となり散らばります。
この虐殺は、他の大虐殺同様に史料が限られています。
加害者が証拠隠滅を図るからですが、アルメニアの場合はアメリカの伝道団体の医師の証言が
書籍として遺されました。

その医師は、クラレンス・アッシャー。
書籍名は、an american physcian in Turkey

この書籍を基に、映画を劇中でつくるのです。
この劇中の監督に、アズナブール(あの有名な)がなります。
彼自身、アルメニア人です。本名はアズナブリアン。
アルメニア人の男性には「アン」が付く人が多い。

つづく。


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