北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

格差の問題という悲観を脱する

2007-06-10 23:50:52 | Weblog
 さて、昨日の講演後と今日の午前中は、討論会が待ち構えています。

 討論会は、全部で五つの分科会に分けられた各分科会ごとに、異なる切り口で「脱悲観論」についての意見交換をするのです。

 私は第4分科会とされましたが、私たちの分科会に与えられたのは「格差社会」という切り口・キーワードでした。「格差社会が進行して大変ひどい国になる」という悲観論に対して、これを脱するためにはどうすべきか、というテーマです。

 まず『格差はあるのだろうか』、そして『それは広がっているのか』、『格差があると日本はどうなるのか』といった視点から討論はスタートをしました。

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 今日のお題に沿って、悲観的に考えるシナリオとしては、やはり貧困層は増えていて生活保護世帯も増加している、非正規雇用者は所得も低く保証も少なく格差社会の弱者ではないか。また明らかに人口の移動を見ると、非都市部から都市部へ、地方から大都会へ、という流れがあるのは、好むと好まざるとに関わらず地方の魅力は減退し都市の魅力が増えていることの証だといえるでしょう。

 そしてそうした格差があると、定収入で若者が結婚できなくて少子化に拍車が掛かる、モラルが低下する、一次産業従事者が減少して社会を支える労働者が少なくなる、競争力が減る、などということが予想されます。

 その一方で、脱悲観論的に考えるとすると、外国に比べると格差はまだ小さい、経済の格差がそのまま不幸ということでもない、競争社会を進める故に格差が発生するというコインの裏側に過ぎない、という意見がありました。 
 また、経済格差は高齢化とともに発生する現象で必然であるという意見は面白かったです。さらに、格差ではなく働き方の多様化ではないか、格差という言葉が異常に政府批判の道具として使われている、という考え方がありそうです。

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 面白かったのはメンバーの中に、高福祉・高負担・究極の非格差社会を実現したと言われるスウェーデンに住んだことのある人がいたこと。その人の見る限り、高負担でも高福祉になることが分かれば、それを受け入れる人が多のは事実。
 しかし、本当に競争社会に揉まれてもっと活躍してもっと成功を求めるという人達にはそういうスウェーデン社会は物足りないようで、若いうちにヨーロッパの他国へ出て活躍し、老後をスウェーデンに戻るという生き方を選ぶ人もそれなりにいるのだとか。

 なるほど、やはり格差がないということは切磋琢磨や競争によるモチベーション向上につながらないということのようです。そして日本はおそらくそのようなスウェーデン型社会保障の道を選ぶことはないだろう、というのがこの会の結論でした。

 そして、格差がある、ということは、世の中が良くも悪くも変化しているということへの対応の差から発せられる「一つの状態」なのではないか、と私が意見を述べました。

 つまり時代の変化に対応していればあまり目立たないことが、時代の変化に取り残されることでニーズを失ったり、ついて行けなくなっている人や分野がどうしても発生する、その一瞬の断面を見て「格差」と言っているのではないか、と思うのです。

 そこから導き出される対応としては、まず短期的にはそうした出遅れてしまった人達や地方に対してとりあえず救済するということが必要でしょう。格差が生じていると言うことはその分野へのニーズが減少していると捉えるべきでしょう。

 そうなると長期的には、そうした分野から新分野への移行を促すような仕組みが必要で、広がった風呂敷をたたんでゆくような時代がこれからはやってくるという時代認識も必要だと思うのです。

 もっとも、高齢化は今の団塊の世代が死に絶えれば解決する問題であるので、今後25~30年間の対応だ、という意見もあって、時代が一直線に変化する分野と、波を打つように変化する分野の見極めも必要だとも言えそうです。
 
 そしてわが分科会の最後の結論は、悲観的な意味でなんでも「格差」という単語で片づけるな!もうネガティブな意味合いを含んだ格差という言葉を使わないようにしよう、ということになりました。

 全体討論の場での発表は新人の新聞記者の女性にお願いしましたが、彼女は分科会の流れを自分のパソコンでパワーポイントに落とし込んだ資料をすぐにつくってくれました。そう言う意味でも時代は変わっていると改めて感じたのでした。

 今年も楽しかった夏富士会議。来年もまた楽しみです。関係者の皆様、ありがとうございました。
 
コメント
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