関東地方も今日から梅雨入り。今年も平年並みに雨が降り、平年並みに暑くなって欲しいものです。
マスコミを喜ばすだけの異常気象になるのならいりません。普段並みがよいのです。
さて、我が職場では6月の人事異動を終えて、人の入れ替わりが一段落した今日この頃です。そこで新しいメンバーによる、現場の状況の勉強を兼ねた視察会が今日から来週にかけて行われることとなりました。
この視察会は毎年この時期の恒例だそうで、現地視察をばらばらに行うと現場の担当者の負担も大きかろうと、バス一台で移動できる範囲で合同で行おうというものです。
我が職場は東京でも最先端のまちづくり、まち育て、まちのリニューアルを手がけているところですから、こういう機会を逃してはならじ、と私も参加を決めたものです。来週末までの毎日午後の時間を、都内を7つに分けているユニットと呼ばれる部隊ごとに現地視察としますので、さぞ面白い東京が見られるものと今から期待しています。
※ ※ ※ ※
さて、その現地視察会の記念すべき初日に見せてもらったのは大手町ユニットの現場でした。
大手町と言えば、かつて私も水戸や松本で関東地方建設局(当時)傘下の事務所に勤務していたので、大手町にあった合同庁舎を良く訪ねたものです。
しかし国の機関の地方移転という政治的判断によって、その後の関東地方整備局は埼玉へと移転していったのでした。その後入っていた合同庁舎は国の財産として財務局が売却することになったのですが、折からのデフレ不況下で資金を緊急に社会に流しこめ、という動きを受けてわが社がこれを購入することになったのでした。
さて、こうしてすばらしくポテンシャルのある土地があるわけですから、当然これを有効に活かしたいという構想がわき起こります。
ところで、大手町のまわりの住人たちを見回してみますと、政策投資銀行、日本経済新聞社、JA、経団連…など、日本を代表する企業群があって、しかもそれらがほぼ一様に1960年代前半に大蔵省造幣局から土地の払い下げを受けて土地を取得して建てた老朽ビルばかりなのです。
これらの企業群は、自社ビルの建て替えのために業務を停止するなどということが許されません。そこで、我が社が保有する土地を種地として、こちらに新しいビルを建設し、そこへ移転、それまでいた土地を手放してこんどはそこへさらに近隣のビルの建て替えを行うという、連鎖型の都市再生を行うこととしたのです。
やり方は、まずそれまで各企業が持っている土地の価格を算出して、その価値を新しい土地に割り振る「区画整理の手法」が取られます。
そしてそれと同時に、小泉政権下での都市再生プロジェクトに指定されたことで、敷地の中に立てて良い建物の延べ床面積を大幅に増やすという特例が認められたことで同じ面積の土地でもより多くの建物の床面積を作ることができるメリットを生かした再開発事業を連携させます。
我々が持っていた土地では、都市再生特別地区という制度がかけられ、そのことで従前は容積率が1200%だったものが+390%の割り増しを受けて、1590%まで建てて良いこととなりました。
単純に言えば、それまで12階のビルしか建てられなかった土地に空中をより有効に利用して、16階のビルが建てられるようになったのですから、地主としてはそこで得た新しい空間を希望者に貸し出すことで大きなメリットを受けられるというものです。
実際には建物を建てる面積は敷地よりも相当狭くなりますから、もっと上に階数を重ねることになり、この土地では31階、37階、23階という三棟のビルが建つことになる計画なのだそうです。
しかもこの事業には一切国や都の補助金が入っていないのだそう。
「大幅な容積割り増しが認められましたからね。それが資産としては大きな利益を得ることになるんです」とは担当者の説明。
さすがは日本一の経済活動が展開されている大手町の一等地でのお話し。それまで使えなかった空中をより多く利用させることで莫大な経費を生み出す仕掛けです。
工事現場では現在ビルの地下三階に相当する地盤の地ならしが行われていました。私の通った関東地建ももう取り壊されていて、新しいビルの土地として有効に利用されることでしょう。
そもそも建物にも寿命がありますから、周辺の企業群もいずれ建て替えをしなければならない時期が近づいてはいたのでしょうが、今回のこの事業に乗れば、自らの持ち出しが一切無しで、自社ビルが新しくなると言うのですから乗らない手はないわけです。
細かな条件調整はあったものの、まず経団連、日経新聞、JAの三者が新しい土地に新しいビル建設をすることになり、現在はそのビルの建設が行われているところです。
新ビルが建てられれば、この三者がまずそちらへ移転して、空いた土地で今度はまた新しい都市再生が行われるというわけです。まさに連鎖型ですね。
「都市の再生」と一言で言っても、民間企業が保有している自社ビルを同じ敷地の中で建て替えるだけであれば都市の再生にはなりません。
その機を活かして、周辺を巻き込んで新しい道路や公共空間を作り上げることこそが都市再生の真骨頂であり、それは土地保有者だけではなかなかできず、そこにこそ、我々のような新しい地域づくりを計画し、提案し、土地も買えるという半公共的な組織の存在意義があるというものです。
※ ※ ※ ※
この事業は4月に起工式が行われましたが、その際には安倍総理も来賓として出席をされました。それほど期待の掛かる国家プロジェクトとも言えるのです。
この一連のプロジェクトは平成25年までかかって、連鎖的に行われて行くとのこと。まさに東京の一等地での最先端の都市再生です。すごいことが起きようとしているのです。
マスコミを喜ばすだけの異常気象になるのならいりません。普段並みがよいのです。
さて、我が職場では6月の人事異動を終えて、人の入れ替わりが一段落した今日この頃です。そこで新しいメンバーによる、現場の状況の勉強を兼ねた視察会が今日から来週にかけて行われることとなりました。
この視察会は毎年この時期の恒例だそうで、現地視察をばらばらに行うと現場の担当者の負担も大きかろうと、バス一台で移動できる範囲で合同で行おうというものです。
我が職場は東京でも最先端のまちづくり、まち育て、まちのリニューアルを手がけているところですから、こういう機会を逃してはならじ、と私も参加を決めたものです。来週末までの毎日午後の時間を、都内を7つに分けているユニットと呼ばれる部隊ごとに現地視察としますので、さぞ面白い東京が見られるものと今から期待しています。
※ ※ ※ ※
さて、その現地視察会の記念すべき初日に見せてもらったのは大手町ユニットの現場でした。
大手町と言えば、かつて私も水戸や松本で関東地方建設局(当時)傘下の事務所に勤務していたので、大手町にあった合同庁舎を良く訪ねたものです。
しかし国の機関の地方移転という政治的判断によって、その後の関東地方整備局は埼玉へと移転していったのでした。その後入っていた合同庁舎は国の財産として財務局が売却することになったのですが、折からのデフレ不況下で資金を緊急に社会に流しこめ、という動きを受けてわが社がこれを購入することになったのでした。
さて、こうしてすばらしくポテンシャルのある土地があるわけですから、当然これを有効に活かしたいという構想がわき起こります。
ところで、大手町のまわりの住人たちを見回してみますと、政策投資銀行、日本経済新聞社、JA、経団連…など、日本を代表する企業群があって、しかもそれらがほぼ一様に1960年代前半に大蔵省造幣局から土地の払い下げを受けて土地を取得して建てた老朽ビルばかりなのです。
これらの企業群は、自社ビルの建て替えのために業務を停止するなどということが許されません。そこで、我が社が保有する土地を種地として、こちらに新しいビルを建設し、そこへ移転、それまでいた土地を手放してこんどはそこへさらに近隣のビルの建て替えを行うという、連鎖型の都市再生を行うこととしたのです。
やり方は、まずそれまで各企業が持っている土地の価格を算出して、その価値を新しい土地に割り振る「区画整理の手法」が取られます。
そしてそれと同時に、小泉政権下での都市再生プロジェクトに指定されたことで、敷地の中に立てて良い建物の延べ床面積を大幅に増やすという特例が認められたことで同じ面積の土地でもより多くの建物の床面積を作ることができるメリットを生かした再開発事業を連携させます。
我々が持っていた土地では、都市再生特別地区という制度がかけられ、そのことで従前は容積率が1200%だったものが+390%の割り増しを受けて、1590%まで建てて良いこととなりました。
単純に言えば、それまで12階のビルしか建てられなかった土地に空中をより有効に利用して、16階のビルが建てられるようになったのですから、地主としてはそこで得た新しい空間を希望者に貸し出すことで大きなメリットを受けられるというものです。
実際には建物を建てる面積は敷地よりも相当狭くなりますから、もっと上に階数を重ねることになり、この土地では31階、37階、23階という三棟のビルが建つことになる計画なのだそうです。
しかもこの事業には一切国や都の補助金が入っていないのだそう。
「大幅な容積割り増しが認められましたからね。それが資産としては大きな利益を得ることになるんです」とは担当者の説明。
さすがは日本一の経済活動が展開されている大手町の一等地でのお話し。それまで使えなかった空中をより多く利用させることで莫大な経費を生み出す仕掛けです。
工事現場では現在ビルの地下三階に相当する地盤の地ならしが行われていました。私の通った関東地建ももう取り壊されていて、新しいビルの土地として有効に利用されることでしょう。
そもそも建物にも寿命がありますから、周辺の企業群もいずれ建て替えをしなければならない時期が近づいてはいたのでしょうが、今回のこの事業に乗れば、自らの持ち出しが一切無しで、自社ビルが新しくなると言うのですから乗らない手はないわけです。
細かな条件調整はあったものの、まず経団連、日経新聞、JAの三者が新しい土地に新しいビル建設をすることになり、現在はそのビルの建設が行われているところです。
新ビルが建てられれば、この三者がまずそちらへ移転して、空いた土地で今度はまた新しい都市再生が行われるというわけです。まさに連鎖型ですね。
「都市の再生」と一言で言っても、民間企業が保有している自社ビルを同じ敷地の中で建て替えるだけであれば都市の再生にはなりません。
その機を活かして、周辺を巻き込んで新しい道路や公共空間を作り上げることこそが都市再生の真骨頂であり、それは土地保有者だけではなかなかできず、そこにこそ、我々のような新しい地域づくりを計画し、提案し、土地も買えるという半公共的な組織の存在意義があるというものです。
※ ※ ※ ※
この事業は4月に起工式が行われましたが、その際には安倍総理も来賓として出席をされました。それほど期待の掛かる国家プロジェクトとも言えるのです。
この一連のプロジェクトは平成25年までかかって、連鎖的に行われて行くとのこと。まさに東京の一等地での最先端の都市再生です。すごいことが起きようとしているのです。