釧路市役所の秘書課が内装の改装を終えました。
改装のポイントは地元の木材「くしろカラマツ」の内装材を使う事で、これによって地域の木製品のPRをしようというのです。
フローリングには、釧路森林資源活用円卓会議の商品開発検討における試作品を使い、壁材にも不燃材にカラマツ材を貼った合板を使いました。
一見本物の木のように見えますが、部材は無垢材そのものではなく、合板にカラマツ材を薄く切ったもの(専門用語では「突板(つきいた)」と言います)を張り付けた合板です。
表に見えるのはカラマツで、一枚一枚の部材の木目は少しずつ変わり、ここが木目をプリントしただけの印刷モノとは違うところです。
また、無垢の板材だと反ったり割れたりしますが、合板に木目調だけを張り付けているのでそうした樹木ならではのマイナスの面が出ないのです。
こういうやり方は、高価な板材を使って高級木材風にするものですが、カラマツだとまた独特の明るい感じに仕上がります。
完成検査を終えたところで部屋に入ってみると、新築の家の木の香りがします。いいですねえ。
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この改装は、単に古くなった室内を改装したわけではなく、『くしろ木づなプロジェクト』の一環として、地域産材の利用促進をおこなうものです。
地域の林業を考えると、林地を管理して樹木を切り出す木材産出業者と、これを加工する加工業者、さらにそれを使って最終消費者に届ける販売施工業者という大きなグループがあります。
これまではそれぞれのグループでの情報交換にとどまることが多かったのを、これらを川に例えて、上流(木材産出側)から下流(販売・施工業側)までが同じテーブルで木材利用の促進を語ろうという、『円卓会議』を開催して情報と認識の共有を果たそうという活動を行っています。
こうしたことを地道に行う中で、消費に繋げるための課題を明らかにして対策を考え行動に移して行こうというのです。
それを、最も外からの人が訪ねてくる秘書課をモデルにすることで宣伝効果を狙ったもの。興味を持ってくれる人が増えることを期待したいものです。
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そろそろ改装工事が終わるころになって、木づなプロジェクトであることを知らせるサインが欲しいね、ということになり、急きょ工業技術センターの担当者に来てもらってそれを作ってもらいました。
「文字だけだと味気ないね」ということになりましたが、ポスターの絵のデータを使って、レーザー焼き機で建物の定礎のように作ってもらいました。
協力団体としての、「製作:釧路工業技術センター」の文字も小さく焼きこんでもらいました。
たくさんの関係者の力でできた新しい秘書課の部屋。
夕方からは職員の手で再び机などを持ち込む引っ越しが始まりました。
来週からは釧路さんのカラマツで囲まれた、木の香りのする新しい部屋での仕事が始まります。
良いものはまず身近なところから。まず「隗より始めよ」です。
ぜひ一度お訪ねください。