昨夜はニセコで宿泊。
余市回りで札幌へ帰ってくる途中でどうしても立ち寄りたかったのが、余市町のフゴッペ洞窟です。
これは国指定の史跡になっていて、余市や積丹方面へ行くときに道路にある案内標識があります。いつも気にはなっていたのですが、なかなか立ち寄れずにいたのを、今日ようやく訪ねることができました。
施設を拝見するのは有料(大人300円)ですが、お願いすると現地の担当者の方がガイドをしてくれるのでとても分かりやすい説明が聞けますよ。
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さてこの洞窟、昭和25年に札幌の中学生だった大塚誠之助さんが土器片をここでみつけ、それを札幌南高校で郷土研究会に属していた兄に相談したことで一躍有名になりました。
その結果昭和26年からは北大の助教授をはじめとする調査団が発掘調査を行い、縄文時代の土器や石器、骨角器などを発見したのですが、中でも世間の度肝を抜いたのが日本では珍しい線刻画、つまり洞窟内の岩に刻み込まれた絵でした。
それらは抽象的な線画ですが、全部で200以上もあり、人の姿をしていると思われるものも多くあります。
なかには翼を背負っていると思わせるような者や頭に角が生えている人物像も見られます。これらは呪術をつかさどるシャーマンの儀式を表しているとされ、洞窟はそうした儀式の場だったのではないかと言われています。
また緩やかなカーブの上に十本ほどの縦線が描かれているものもあり、これは「船に人が乗ってきたことを表しているのではないか」と説明されています。
日本にはこの手の岩への線刻画は極めて珍しく、約1700年ほど前の続縄文時代の線刻画となると小樽の手宮洞窟に例があるだけ。当時は海面が今よりも2メートルほど上がっていたようで、それだと洞窟のすぐ前まで海面があったに違いありません。
手宮洞窟の線刻画はロシアのアムール文化との類似性が指摘されていて、船を使って移動する大きな人の流れの一つの現れだろうと言われているそうです。
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洞窟内はガラスで覆われた空間で保護されていて、見学はその中から見るようになっています。
壁に据えられたスイッチを押すと横から光が当てられる仕掛けで本物も見ることができますよ。
国定の歴史の教科書では、日本は縄文時代から弥生時代、古墳時代、飛鳥・白鵬、奈良時代、平安時代…と時代区分が説明されていますが、北海道に限ると、縄文時代の後は続縄文時代、そして擦文文化、アイヌ文化へと続きます。郷土の歴史としての時代区分くらいは知っておきたいものですね。
こうした史跡もつぶさに見て地域の財産を味わい、遠い昔に思いをはせるのも良いですね。
フゴッペ洞窟、やっと行けました。