退職してフリーになったのも束の間、今日はすぐに都市計画学会での催しで壇上に上がる役回りを仰せつかりました。
役回りとは、『立地適正化法と都市防災』というテーマで、東工大教授にして都市計画学会会長の中井先生の講演を聞いた後の鼎談の進行役というもの。
都市経営やまちづくりの視点から新しくできた制度をどう考えるかについて議論を膨らませるというお仕事です。
立地適正化法というのは、郊外に住宅地が広がりすぎたいまの都市構造では人口減少化などによって都市経営がうまくいかなくなるという課題を受け止めて、都市の集約を進めコンパクトシティ化を目指すための法律です。
実際には都市の今後のあるべき姿を市民に示し、集約を進めるべき地域と壮でない地域を明らかにするというのは反目を受けるかも知れず、勇気のいることです。
しかし目先の意見の相違を超えて、長期にわたるまちづくりの方向性について理解と共感を得る努力を惜しんではいけません。
人口が減ってゆく中で、それでもマチを経営できるということは、一自治体の問題ではなく社会全体の問題だ、ということが共有されてきているということでしょう。
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今日の話を聞いて、ある知人がこうしたコンパクトシティづくりの先進的な事例を教えてくれました。
一つは、バスに乗ったことの無いような子供に対してバスに乗ることを練習させるような事業をしているということ。
そしてもう一つは、チューリップなどの花で有名な富山市では農政部局が主導して、指定の生花店で500円以上の花束等を買った方で、富山地鉄市内電車や富山ライトレールポートラムにご乗車される方に無料乗車券を進呈するという事業をしているのだそう。
地元の花産業と公共交通の無料化で乗る機会を増やすということを同時に達成するような政策です。
こういうことに市民が慣れてゆくうちに、花産業や公共交通への理解が進むような工夫の形であり、こういうことの延長線上に、市民が共感し参加するようなまちづくりがある。
コンパクトシティとは、その方向性に対する共感をどれだけ得られるかということへの長い挑戦なのだと思います。
まちづくりの新しい視点について多くの知人と語らい、気づきの多い有意義な時間でした。