先日報徳の飲み会で、農業に詳しい方から聞いた話。
「小麦って早くから工業製品なんですよ」
「小麦が工業製品だ、というのはどういうことですか?」
「それは品質が一定のものとしてメーカーに供給される原材料だ、という意味です。大手のパン屋さんが自動機械で大量にパンを焼いてスーパーなどに送り込むときには、小麦粉の品質にムラがあると、まったく同じように焼けないんです。だからタンパク質の割合などを一定の範囲に収まったものとして集め、供給するんです」
「ははあ、なるほど」
「で、最近はお米もそういう風になってきました。自主流通米だから好きなところに売ればよい、という農家の方もいて、それで安定的に買ってくれるつながりが作れれば良いですが、大量消費のメーカーだとそうはいかないわけです。コンビニのおにぎりなんかは大量に炊き上げますが、ここでもお米の品質にムラがあると、焦げたり微妙に柔らかかったりして出来上がりの違いになって表れます。メーカーはとにかくそれを嫌うんです」
「なるほどそうですか」農作物も大変です。
「お米と言えば、実は私は川崎に住んでいた時に近くにスーパーで『おぼろづき』という品種のお米が売られていて、私は知っていたのですが、そのスーパーの方が『そのお米、北海道だけど美味しいよ』と言われて、とても嬉しかったのを思い出しました」
「お米の中に、『八十九』というブランドのお米があるんです。今度見てみてください。これはお米を育てるのに米という感じを分解して『八十八の手間がかかる』という言い方をしているのに、『もうひと手間かけて八十九の手間』という意味で八十九というブランド名にして売っているんです」
「ははあ、今度見てみます」
「そのブランドを付けたお米は品質が一定以下のものは出さないようにしています。おぼろ月が出たての頃には、苗がおぼろづきだということで出来の悪いものもそのブランド名で売っていたことがあって、評判を落としたことがありました。その反省を込めて品質管理に力を入れて売っているんです」
農産物もできあがりをしっかり検査されて品質基準に合格したモノだけが選別されて売られる時代だということが良くわかりました。
農家さんの苦労が偲ばれます。農業ももっと勉強しないといけませんね。
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