北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

父の行方不明事件 ~ ピンクの自転車に乗って

2022-09-10 22:35:03 | Weblog

 

 久しぶりに実家の様子を見に行こうと電話をすると母が出て「ちょうど買い物に行こうと思ったところだから待っているよ」とのこと。

「それじゃ30分後に着くよ」と言って電話を切る。

 ところが30分後に実家についてみると待っているはずの母も父もいません。

 おまけに父が良く乗っている自転車もありません。

(後で来ると言っているのに父も母もいない…?どうした?)

 母の携帯に電話をしても(父は携帯を使えないし持ってもいないので)出てくれず、さっぱり訳が分かりません。

 困り果てた末に、とりあえず妻と娘を実家に残して私は普段母が買い物に行く近くのショッピングセンターに行ってみました。

 そこで母らしき人がいないものかと店内を歩いていると、ようやく母から電話がかかってきました。

「どうした?家に誰もいないじゃん」

 すると母からは「いやいや、爺ちゃん(父のこと)が行方不明になった」とのこと。

「なんで?」
「近くのコンビニに書類のコピーに行くって自転車に乗って行ったんだけど一時間たっても戻ってこないのさ。それであんたが来るのは分かってたんだけど間に合うかと思ってコンビニに行ったさ。だけどいないんだよ」

「お店の人は?」「聞いてみたけど、見てないって」


 おやおやこんな徘徊は初めてです。

 とりあえず車に乗って家に向かう途中で問題のコンビニを回ってみることにしました。

(いやあ親父いないかなあ…)と交差点を右折しようとすると、なんとその先に自転車に乗ろうとしている父がいるではありませんか。

「いた!」

 父は私の車には気がつかずそのまま自転車に乗ってよたよたと前を走り始めました。

 私は速度を落として後ろからゆっくりと自転車を追いかける形で走行。

 右へ曲がれば実家の方という交差点には妻が出てきていて、そこでようやく妻と父が合流できました。

 その後は自転車に乗った父は家まで到着。

 家では母が待ち構えていて「どこへ行っていたの!?」と問いただしたところ父は「いやあ自転車をどこに置いたかわからなくなって…」とバツが悪そうにしています。

「自転車が分からなくなるんだからダメだなあ…、すまん恥ずかしいよ」

 あとで母に聞くと「ピンク色の自転車だからね、って言っているんだけど、以前も他の人のピンクに似た自転車にカギを入れて『合わない合わない』って言ってたことがあったんよ」と似たようなことがあったよう。

 父もまだらに記憶がなくなることが多くなってきたようで、今回も一瞬自転車がどこかわからなくなったのが、またスイッチが入って思い出したのかもしれません。

 母はまだ頭はしっかりしているのですがそろそろ足腰が悪くなりそうそう遠くまでは出歩くことに難儀しています。

 そんな中にあって母の負担も増えそうです。困りました。

 
     ◆


 その後に家で皆で昼食を取りましたが、父は案外ケロッとしていてもうそんなことがあったことも忘れているのかもしれません。

 老親の見守りもそろそろ大変な時期になりつつあります。 

 

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