北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

大前研一著「知の衰退」を読む

2009-10-14 23:08:58 | 本の感想
 情報発信男の代名詞である大前研一さん。今日は彼の著書の中から「『知の衰退』からいかに脱出するか」(光文社、1600円+税)を読みました。

 大前さん、一体今何歳になるのかと思いきや、1943年生まれというので御年66歳!それでいて、ネットを駆使し、世界中を駆け巡って最新の情報について英語で議論をする。今回もそうした行動様式から得た自分なりの危機感を世間に発信し続けるエネルギッシュな本です。





 大前さんは世界を駆け巡って最前線の現場を数多く見る中で、日本と言う国に危機感が足りないということを強く主張します。

「日本人はバカになったのではないか?」と思わせる事象があまりに多く、世界とのギャップを痛切に感じるのだそう。パターン思考に陥ってしまって反応はするが者は考えない、ケータイ脳、おバカクイズ番組・・・、まあ否定的な出来事をを書き連ねるとどこまでも行きそうです。

 大前さんは「集団的IQ」という言葉を使って、「この集団的IQが高い国は勝ち組で、低い国は負け組み。そして富は勝ち組に集まり、負け組みからは富は吸い取られる」と言います。かつて集団的IQが高いといわれた日本人ですが、大前さんによれば「それはもはや過去の事」「今はあまりにものを考えない!」それが日本人の今の姿だというのです。

 大前さんは「教養が大切だ」と言いますが、大前さんの言う教養とは四書五経や歴史や古典文学など、「かつて教養と呼ばれた昔ながらの知識」とは一線を画していて、「現代には現代の、21世紀の教養があるのだ!」と言います。

 そしてそれは、英語、IT、金融知識なのだと。きわめて具体的です。

   *   *   *   *   *

 英語というものはもう単なる外国語ではなくて、世界とのコミュニケーション道具なんだ!世界のリーダーは既に国際会議では英語で個人的なコミュニケーションを取るのが当たり前だし、中国でもインドでも韓国でも、出世してお金を稼ぎたいというエネルギーに満ちた国の若者の英語水準は日本の若者の比ではない!

 ITは、より広範な知識にたどり着くことができ、しかも調べることに使っていた時間を格段に少なくさせる道具だ。だからそれで生み出された時間を考えることに充てればいいんだ!

 金融も、安全なところに預けているだけでは資産は増えませんよ、それは自分の出来ることの可能性を閉ざしているのだ、と言えば「ああ、そうか」とは言うもののほとんどの人が行動を起こさない!

 欲や希望やエネルギーを失った日本の若者たちが中核になって行く日本は一体どういう国になり、世界を舞台にした激烈な国際間競争にどのように立ち向かっていけるのだろうか、と大前さんはため息をつきます。

 だからこそ、必要なことは「そう気づいたのなら行動を起こすことだよ」と、表現を変えながら何度も何度も訴えるのです。

 
 ともすると単なる著者の自慢話をひけらかしているのか、と見る方もいるかもしれません。しかしその中から、行動を起こさなくては、と気づき実際に行動を起こす人が何人かでもいれば良いでしょう。

 それが数人では困るのですが、少しでも多くの人が覚醒しなくてはいけないな、と私も思いました。

    ※    ※    ※    ※ 

「社会全体が『別に、それでいい』、と知の衰退に陥ってしまっており、IQが低くなってしまっている。集団に覚醒を呼びかけても応じてはくれない。『ピンチこそチャンス』と危機を脱出するのは気がついたあなただ。例え一人でも、行動を起こすしかない。

「誰も率先して行動しようとはしない現代の日本社会において、その作業はあなただけのユニークなものになるはずだ」

「人と違うことを恐れては行けない。むしろ、横並び意識を捨てなければ生き残れないと肝に銘ずべきだ」

「そうだ!僕はユニークな生き方をしよう!!」

この言葉を胸に、身の回りを、そして世界を見渡して欲しい。 (序章p21より)



 孤独を恐れない生き方をしますか。 

 
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