こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『時空旅行者の砂時計』方丈貴恵

2019-11-26 19:53:22 | 読書感想
 
加茂冬馬は、急性間質性肺炎になってしまった妻を助けるため、彼女の実家である竜泉家の呪いを解くべく、マイスター・ホラと共に、1960年の竜泉家の別荘へと跳んだ。
当時、そこで連続殺人が起こると共に、土砂崩れも発生し、皆がのまれてしまったのだった。

そこへの移動の瞬間を、当時の記録者であるところの竜泉文香に見られてしまった事が逆に良かったようで、事情を知った上で、他の者には東京から来た探偵として招き入れてもらえた。
しかし本来なら、事件が起こる前に到着するはずだったのに、マイスター・ホラのデータと実際の発生時間がずれていて、文香の父と従兄弟の光奇は殺されていた後だった。
それでも、冬馬たちは残りの人々を守ろうとするが。

ミステリにタイムトラベルまで持ってきて、論理の破綻が無いようにするのが大変だと思うのですが、新人賞の応募のために書かれた作品だそうで、いい時代になったのか大変になったのか、判断が難しいところですが、読者には幅が広いわけで嬉しい限りです。
もっとも、昔なら異端扱いでしょうから、それまでの作家の方々の苦労には頭が下がります。
もちろん、この作品が優秀なのが選ばれた一番の理由なわけですがね。
本当に、鮮やかなお手並みでした。素晴らしかったです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする