こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『火花師』草上仁(SFマガジン2024年8月号掲載)

2024-07-05 20:04:11 | 草上仁
 
タイトル、花火じゃないの?とまず思いました。
でも結末で、初めに出てきたゲノムだか動物系だかの言葉の意味を理解し、その想像される光景の美しさに晴れ晴れとした気分になります。
火花師が山開きを目標にする意味も、ここで分かるのですね。

花火も美しいのですが、この火花を見られたらそれ以上に感動しそうに思えました。
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『テーマ』草上仁 「SFマガジン2024年4月号」掲載

2024-02-29 20:38:33 | 草上仁
正直、典型的なブルーカラーである私といたしましては、どう反応すべきなのか迷いました。

「うらぶれたアパートに住む疲れた労働者で悪かったな!」と怒るというのもありでしょうが、
そういうものでもありませんしねえ(^_^;)

確かに重労働で貧しいので、日々はつらつというわけにもいきませんけど。
そんなに貧しくて生活に疲れた状態がいけないのなら、雇用主もその心身を癒しととのえられるだけの
賃金を払うべきでしょう。
なり手のいない職種には、より高い給料も支払うのが需要と供給のバランスを考えれば妥当というものでしょう。

でも実際の雇用主や資本家、政治家などは、その現実から目を背けようとしています。
労働者たちへも何とかその現実に気づかせないようごまかそうとしていて憤りを感じています。

そういう現状があるからこそ、この主人公も自分の状況に衝撃を感じたのでしょう。
満足できる収入と休暇があるなら、ここまでなりませんよね?

少々、考えすぎました。感想になっていますでしょうか?
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『本性』草上仁 SFマガジン2023年12月号収録

2023-11-01 20:25:47 | 草上仁
 
星際会議において多くの銀河種族の間で、環境保護や多様性確保に関する協定を締結するための駆け引きのために行われるネガティブキャンペーンの1つがこの物語。

何だかSNSの嫌な面が描かれていると言いますか人間が集まっているとありそうですし、まるで自分自身もそこの当事者として最低な面をさらけ出しているようで、赤面ものです。

客観的に読むとかなり滑稽で、どんな論争も言い負かされた側ばかりか勝った方も同じように感じられて、切なさと虚しさも感じました。

こう書くと陰鬱な話と思われるかもしれませんが、人の滑稽さを笑い倒す方が健康的かもしれませんので、そちらの方でお読みください。
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ネタバラシあるかも?『掌篇 毒をもって・・・』草上仁 『SFマガジン2023年8月号』掲載

2023-07-03 20:17:28 | 草上仁
 
法廷から始まるという、草上さんらしい物語です。
ただ、法で禁じられているとはいえ逆に非常習者が気づかないというのは、禁止されてからよほどの年月が経っているというのでしょうか?

狂信的というのは、ある意味真実かもしれませんし、皮肉を込めたくもなるのかもしれません。
でもそれが著者の本音かと言えば、別の話になってきますし。

いつもより短い物語であるがゆえに、ネタバラシをしないで感想を書くのは難しいですね(;^_^A
私にとっては好きな話です。
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『非可能犯罪捜査課 ゴッドハンド』草上仁 SFマガジン2023年月号掲載

2022-12-28 20:18:12 | 草上仁
 
ゴッドハンド。
難しい外科手術を成功させ患者を生還させる確率が高い外科医の腕、または、その高い能力の持ち主の事を言う。

一般的には、こういうイメージでしょうか?

ところがここに出てくるゴッドハンドの持ち主は、医師免許を持たずに非合法に手術を行い、それにはメスを使わず、血を流す事もないと言います。

それが今回に限って、彼が手術した患者が不思議な状態で死亡し、その後の対応のまずさもあって遺族が疑問を持ち、裁判にまで発展する事になってしまったようです。

いやあ、普通ならば超常現象の真偽から争われそうなものですが、面白い方向から戦っています。
しかもこの結末、つまりはどういう事なのか?
いくらでも想像の飛躍する余地がありそうで、何倍にも楽しめそうです。
しかも続編があるというじゃないですか。
SFマガジン編集部様におかれましては、必ず載せてくださいますよね?

さらに今回のアンケート結果によって、草上さんはいつもの倍も書いて下さっているとの事。
これはきっと担当様を始めとしたSFマガジン編集部は、特集を組んでくださいますよね?
宜しくお願いいたします。
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