こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『こうして誰もいなくなった』有栖川有栖

2019-04-30 19:47:18 | 読書感想
ミステリ、ファンタジー、ホラー(?)の短編集です。

火村もアリスも出てこないのは、久しぶりではないでしょうか?

冒頭の「館の一夜」は、ホラーのように見せて、結末がお茶目なのでホッとしました。
「線路の国のアリス」は、有栖川さんらしいアリスの物語になっています。

他にも色々と感想はありますが、なにしろ数が多いので、印象深いものを並べます。

「まぶしい名前」について、有栖川さんはホラーと仰っていますが、私から見ると、近い未来に起こり得そうな怖さがあるというところでは、SF寄りではないかと思われます。

「未来人F」は、怪人二十面相の新作として、少し楽屋落ちっぽいところも含めて面白く読めました。

「本と謎の日々」は、本好きからしても思い入れがあり、現物を直接手に取れる本屋さんを守っていきたいと思わせる作品です。

何よりも表題作は、有栖川さんが原典をどう料理するかが興味深く、ワクワクしながら読みました。そして、この事件が始まる日時に近い時点で読めた事が、とても嬉しく思えました。本当は、前もってよめたら、もっと良かったのかもしれませんが。

まとまりのない文章になってしまったかもしれませんが、火村やアリス(有栖川)が登場しない作品でも、とても楽しめました。
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『イシイカナコが笑うなら』額賀澪

2019-04-29 19:43:21 | 読書感想
県立星ノ谷高校に異動してきた社会科教師・菅野京平は、31歳。
この高校のOBであり、在学当時に自殺した同級生・石井加奈子が、幽霊として伝わっている事に驚いた。
さらに、その石井が本当に幽霊として京平の前に現れ、2004年に戻って人生をやり直すチャンスを与えると言いだすとは思わなかった。
京平は、彼の人生を変える事ができるのか?

あれだけ熱心でいい先生でも、悩んでいる事もあるんですね。
まあ私も、現実と理想の違いに悩んだりもしましたので、というか、未だに悩みもしますので、人の事は言えません。

また、石井加奈子の自殺の原因に到達するまでの紆余曲折も読みどころで、その結果も、割り切れないところが、リアルなのかもしれません。幽霊が出てきてリアルというのも何ですが。

スッキリしない読後感かもしれませんが、自分の心持ちを変える事で、何らかの落としどころを見つけるしかないという、普通の人生が描かれています。
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SFマガジン2019年6月号 横田順彌追悼特集に寄せて。

2019-04-29 17:32:57 | ブログ
横田順彌さんが、今年の1月4日にお亡くなりになり、SFマガジン6月号で追悼特集が組まれています。

で、日下三蔵さんのハチャハチャSFガイドを読んで思ったのは、どうやら私の記憶に残る「茶摘み」の替え歌は、『脱線!たいむましん奇譚』か『銀河パトロール報告』に載っていそうだな、という事。

とってもお下劣で、バカバカしい詞なのかもしれませんが、当時、・・・も今も、そのアホさ加減が(褒めてます)とても好きです。
多分、後者に載っていそうだなあ。

また、『早く寝てはいけません!』に始まる子ども向けの講談社作品のアンケート葉書に「もっとハチャハチャしてください」というような文を書いたのは、私です。すみません。
充分、ハチャハチャなんですが、応援メッセージのつもりでした。
横田さん、困惑されたでしょうね。

できれば、70年代から80年代にかけてのハチャハチャSFを読みたいのですが、講談社さん、双葉社さんなど、復刊してくださらないでしょうか?
熱烈に、希望します。
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『ダーティペアの大跳躍 ダーティペア(8)』高千穂遥

2019-04-26 19:54:51 | 読書感想
銀河系最大の広域犯罪組織ルーシファが、おおくま座宙域にある惑星国家ダバラットの総督の弱みでも握っていたのか、そこに組織の息のかかったならず者を集めていた。

そこで、よりによって時空間大跳躍(ハイパーリープ)の実験を行っているという情報が入った。
そしてWWWAの中央コンピュータが、それに対処できる者と判断したのはラブリーエンゼル。
俗に言う、ダーティペアだった。

ダバラットに潜入したユリとケイは、その実験を開始した研究者ラーヤナの大跳躍に巻き込まれ、異世界に行くことになってしまった。
ユリとケイは、無事に元に世界へと戻る事ができるのか?

今回、ユリとケイとムギが派手に暴れるのはもちろんですが、異世界では2倍になってしまいましたね。
また、任務は完遂されましたが、結果もたらされる被害も、あだ名に恥じない状況になってしまいました。

11年経っても、安心の(?)壮大なドタバタ破壊劇。
いいのですが、いいのでしょうが、いいのでしょうかねえ?(苦笑)
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『あきない世傳 金と銀(六)本流篇』高田郁

2019-04-22 19:49:10 | 読書感想
今回、六代目店主の智蔵が倒れ、幸が「女名前禁止」の掟をどうにかくぐり抜け、五鈴屋の暖簾を守っていくのかが、第一のテーマであり、満を持しての江戸進出が、第二のテーマと言えるのかもしれない。

幸は「買うての幸い、売っての幸せ」を、叩き込まれたこともありますが、やはり、貧しい頃からの経験か、相手の想いや願いを読み取ることに長けているところが、人の心をつかむのではないかと感じられました。

また、手拭いの奉納や撞木のアイディアも、初めの頃としては斬新でしたし、江戸の人々が粋を重んじる事に気づいたのも良かったですね。

上方にしろ、江戸にしろ、五鈴屋と幸のこれからが楽しみです。
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