こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『超動く家にて 宮内悠介短編集』宮内悠介

2018-03-30 20:25:51 | 読書感想
宮内さんのおバカ短編集と伺い、ずっと楽しみにしていたのこの本。
なるほど!実にくだらない(褒めてます)話が並んでいて、とても楽しめます。

初っ端から「トランジスタ技術の圧縮」で度肝を抜き(?)、「今日泥棒」で日常のミステリ(笑)を描き、表題作で『11人いる!』と『そして誰もいなくなった』の融合を図り(なわけないだろ)「法則」でヴァン・ダインの二十則に支配された世界を考えています。

どれもとても面白く「アニマとエーファ」のような、この中では真面目な方の作品や、「星間戦争」という大きなタイトルの割にやっている事は小さい微笑ましい作品も気に入っています。

今後も、シリアスとおバカの両輪で読者を楽しませてください。
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『妖怪姫、婿をとる 妖怪の子預かります5』廣嶋玲子

2018-03-27 20:08:27 | 読書感想
久蔵が、さらわれた許嫁を取り返すために協力して欲しいと弥助たちの家にやって来た。
何でも、許嫁は妖怪だというのだ。

妖猫族の姫、王蜜の君の手引きで、その許嫁の初音に再会できたものの、三つの試練を言い渡される。
果たして久蔵は、試練を乗り越えられるのか?

初音ちゃんもずいぶんたくましくなったようですが、あの久蔵がああなるとは!
変われば変わるものですねえ。

また、今回の妖怪の子どもたちもバラエティに富んで千差万別。
とても面白かったです。

最後に、本編のあとの従者たちの宴会の愚痴も、楽しくも納得♪
意外な関係も明らかになり、縁とは異なものと感じさせられました。
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『ティンパニストかく語りき』近藤高顯

2018-03-26 19:46:52 | 読書感想
新日本フィルハーモニー交響楽団首席ティンパニー奏者である近藤さんがヴェンチャーズに憧れていた中学一年の頃、「カラヤン/ベルリンフィル演奏会」を聴きに行き、ティンパニーに目覚めるところから始まり、師と仰ぐフォーグラー氏に出会い、様々なティンパニストとも交流しつつ学んできた事を綴ったエッセイです。

何より近藤さんは、バチを自分で試行錯誤しながらつくり、革を取り寄せて張り替えていると知り、驚きました。
困ったのは、近藤さんが交流してこられたティンパニストの演奏を聴いてみたいと思うものの、多すぎて予算的にも時間的にも、困難で大変な事。
手に入るかも疑問ですし、さて、どれを優先して聴きたいのかな?私。
楽しんで悩みたいと思います。
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『さよなら、わるい夢たち』森晶麿

2018-03-22 19:31:39 | 読書感想
ジャーナリストの長月菜摘の親友・薄井麻衣亜が、生後半年ほどの息子を連れて失踪した。
麻衣亜は心中しようとしているのか?
彼女を心配する菜摘は、恋人の丘崎と共に最近の彼女の動向を調べ始めた。

読後感としては、めちゃくちゃ胸くそ悪いと同時に、麻衣亜には「さよなら、よい夢を」と言いたくなりました。
日本の男中心社会だけでなく、女も、世界も含めて、様々な歪みを描き出した物語です。
森さんに伝えたいのは「ありがとうございます」の一語です。
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『活版印刷三日月堂 庭のアルバム』ほしおさなえ

2018-03-20 19:36:22 | 読書感想
川越の小さな情報誌の出版社で「月刊めぐりん」という旅行雑誌の仕事に面白さとやりがいを感じつつも、大手企業に勤める友人たちに劣等感を抱いてしまう竹野。

一方、三日月堂の店主・月野弓子の母カナコの大学時代の友人の一人・大島聡子は、カナコのお見舞いがきっかけで、やはり友人の裕美と疎遠になっている。

また、カナコの二十七回忌の集まりに参加したある友人の娘・楓は、高校に居場所を見つけられず悩んでいた。

そして彼らは、三日月堂に関わる事で良い方向に変化し、弓子自身も、新たな転機を迎えようとしている。

私としては「カナコの歌」が、一番身近に感じられました。
ただ、この本を主に買う世代は、表題作が一番心に響くのかもしれません。
最後に「川の合流する場所」まで読んでみて、これまでの閉塞感が打ち破られるような希望の光が感じられました。
三日月堂が、かつてのようにはならなくても、数人の職人さんが集まる印刷所にはなれると嬉しいですね。
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