こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『Voyage 想像見聞録』宮内悠介 藤井太洋 小川哲 深緑野分 森晶麿 石川宗生

2021-08-24 20:08:52 | 読書感想
 
旅をテーマに6人の作家が描いたアンソロジー集。

対馬の母子家庭の少年が、父を探す旅に出たり、演劇の舞台芸術を請け負う人々が、トラックで舞台装置を運んでいる道中の会話など、初めは割と普通だったのですが、他所から飛んできた衛星のために地球が自転できなくなった世界や、水星に人が住むようになった世界など、後半になるにつれて、常軌を逸した世界になって行っているように思えます。

特に好きなのは、森さんの「グレーテルの帰還」のすさまじさと、石川さんの「シャカシャカ」のSFならではのぶっ飛んだところでしょうか?

面白いですよ~。
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『探偵は絵にならない』森晶麿

2021-08-20 20:00:24 | 読書感想
 
五年前、国内の絵画の登竜門と言われる賞を受賞したものの、風向きが変わったのか次第に売れなくなり、同棲していた恋人のチャン・ジェウ・フオンも出て行ってしまった画家の濱松蒼。

故郷の浜松にフオンがいると思った蒼は、友人(?)でアロマテラピストの小吹蘭都の家に押しかけ、光熱費無し、食事とアトリエ込み一万五千円で住まわせてもらえる事となった。

その代金のための仕事と、フオンの行方探しをしていると、妙な仕事と不思議な人とのつながりが現れてきた。

匂い(アロマ)かー。
オーラとか個性とも言えるのかもしれません。

ハードボイルドを指定されて書かれたそうですが、主人公が、そのイメージとは遠い感じですね。
森さんのハードボイルドの定義は、内面を極力描かずに客観的描写のみで、ハードな局面にある人物の状況を描く作品とのことだそうですが、私のイメージとしては、男性のいい格好しい(ごめんなさい)という感じなのです。

それにしても頼りない雰囲気の主人公なので、読みながら大丈夫かな?と思っていました。
続編があるので、できるだけ早く読みたいです。
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『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』中山七里

2021-08-18 19:54:39 | 読書感想
 
今回、初めの事件からとても心に痛いものでしたし、続く事件の真相も、辛いものがありました。

探偵役と相棒が高齢者という、私にとってとても身近な、そして間近な立場の人々というのもあるのでしょうが、とても心に迫って来るものがありました。

さらに、最後の話に至るまでの連続した事件。
読んでいて苦しくなりました。

こんな事を書くと、営業妨害みたいですよね。ごめんなさい。
でも、こう書きながらも読みやすく、面白いのです。

この物語を読んでいると、今さらながら、静さんのように真っ当に、より、ご自分を人間的にも向上させようとなさっている方でさえ、うらみを買うのですから、世の中って怖いな、と、今さらながら思ったりしたのです。

それでも私自身も、静さんは無理ですが、少しでも人間的に成長できたらな、と考えるのです。
目隠しをして、天秤を持つ、女神にようにはなれませんけど。
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『心をつなぐスープカレー スープ屋しずくの謎解き朝ごはん』友井羊

2021-08-17 19:51:05 | 読書感想
 
今回は、リモートワークをきっかけとして、美帆の恋人が浮気をしているのではという疑惑が浮上したり、アレルギー体質の少女の母親が、娘のアレルギーの原因をその少女の同級生のプレゼントしたクッキーと疑うばかりか問題として公にしてしまったりと、結構、読んでいてつらい面がありました。

特に後者。
この母親のせいで、軽いとはいえ同級生から身体的に危害を加えられたのだから、単に、本人に謝罪するだけでいいのかな?と思ってしまいました。
例え、被害者が許したとしても。
大人としては、もう少し責任を取ってほしいと思ってしまいました。
学校やPTAなどの公の新聞みたいなものがあれば、そこで謝罪するとか・・・厳しいかもしれませんが、そこまでなくても、このままだと釣り合いがとれていない感じがするのです。

本当に、こういうのは取り扱いが難しいですよね。
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『君と歩いた青春 駐在日記』小路幸也

2021-08-09 19:46:55 | 読書感想
 
駐在日記も3冊目。
時代はザ・ピーナッツが引退公演をしたという頃で、私でさえ、小学生じゃない?という年代です。

村長さんが倒れたり、東京で起きているはずの政治家や芸能人のスキャンダルが、思いがけず身近なものだと分かったりと、あまり事件が起こりにくそうな田舎の駐在所でも、何らかのトラブルは起きるようです。

そして何よりも最後の話。
自分自身に降りかかったらと考えると、大昔の話と片付けてしまうには、あまりに残酷で、他所の人に見せられないと思ってしまうのも分かります。
そして、この土地に限らず、日本中、いや世界中で起きてきた事。
途上国では、未だに起きているかもしれない所業。

ただ、だからと言って、その古い罪を背負って生きなくてもよい立場の人が、無責任に批判していいものでもありません。
なのに、メディアやマスコミの中には、自分こそ聖人君主のごとく断罪する者もいますよね?
あと、自分自身も含めて、SNSは、そういう加害者になる危険性をはらんだ道具でもありますので、自省する事を忘れないようにしなければとも、考えました。
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