こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『図書室のバシラドール』竹内真

2020-06-23 19:40:45 | 読書感想
 
”バシラドール”って何?
人柱の人形版?ってな疑問で頭をいっぱいにしながら読み始めたこの作品。
疑問は、第一話であっさり解明されますが、そんなこの物語の舞台は図書室。
主人公は、高校の図書室で学校司書として働きつつも無資格のため、司書の資格を取ろうと勉強中の詩織。

第一話では、男子生徒が家出かひとり旅か判断できない行方不明騒ぎを起こし、第二話では、文化祭でビブリオバトルをやりたいという生徒が現れ図書館ぐるみで行い、第三話では・・・。

実は、第三話が一番重要な気がしました。
扱われているのはメディアリテラシー。
私も含めて人は、TVで言われているから、有名人が言っているから、本になっているから、ウィキペディアに書かれているから、と、鵜呑みにしがちです。

ただ、そういうものの中には、話題になりたいがためや、勘違いや思い込みで書かれている嘘も紛れ込んでいます。
この物語を読む事で、改めて分かりやすく説明され、考えなおすきっかけになったように思えます。

と言っても説教とかではなく、とっても面白いので、お薦めできます。ぜひ。
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『シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗』高殿円

2020-06-21 19:41:16 | 読書感想
 
現代のロンドンにホームズとワトソンが女性として住んでいたら?
しかも、主要登場人物全てが女性だったら?

そんな物語の第2弾では、ジョー・ワトソンの叔母キャロルの夫となった人物が貴族の婚外子だという事が分かり、他に跡継ぎがいない為に相続人となる。
しかし、継ぐ事となったアルスターのバスカヴィル家周辺では、底なし沼や魔犬などの不気味な伝説があり、夫妻が住み始めてからも殺人事件などの物騒な出来事が続く。

ジョーがシャーリーにバスカヴィル家邸から状況を報告し続けている中で、つかんだ真相とは?

今回、何が面白かったって、叔母のキャロルがダウントン・アビーにはまっているという事。
また、ジョーが軍医だった頃に経験したトラウマになるような武勇伝も気になります。

今後、本来のホームズの物語に沿って話を進め、状況も明らかになっていくのでしょうが、このジョーは原典よりもサバイバーのように思えます。
そういう意味でも、これからの展開が興味深く感じられます。
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『出張料理人ぶたぶた』矢崎存美

2020-06-20 19:29:46 | 読書感想
 
今回のぶたぶたさんは、矢崎さんのあとがきによると『ぶたぶた』の中の「初恋」に登場したベビーシッターのぶたぶたさんのその後のシリーズの1つなのだとか。

一人暮らしの芹香が、間違って鍋に入っていたアルコールを摂取してしまったために体調を崩したが、せっかく頼んでいた出張料理を無駄にしたくないのでと、里穂にピンチヒッターとして食べてもらいたいという依頼があったり、日頃仕事などで頑張りすぎている松岡夏音のために母親が頼んだのに、あまりの疲れのため本人は夢で妖精さんを見たのだと思い込んだりと、面白いシチュエーションが並んでいます。

私としては、夏音のように日常の食事と常備菜を作ってもらえたらいいなと感じました。
特に、一人暮らしやシングルマザー、いや、働いているお母さんも、こういうサービスがたまにあったら嬉しいですよね?特に、ぶたぶたさんならなおさら。

最後の「通夜の客」も、お祖母さんや子、孫らの思いも含めて、思いやりに満ちた素敵な物語でした。
ホント、ぶたぶたさんはいいですよねえ。
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草上仁『誰が勇者を殺したか』ミステリーズ!vol.101 2020年6月号収録

2020-06-16 19:57:46 | 草上仁
 
RPGの勇者が死んだ。
しかも、生き返る事の無い消失という状況で。
ゲームプレイヤーは生きているのに。
ゲームの登場人物やプレイヤー、開発者にも事情聴取していった果てに出てきた真相とは?

ゲームプレイヤーが殺されていたという殺人事件は、ありそうですが、こういう方向性は初めてですね。
なるほど、本人にしてみれば、そう考えても仕方のない状態だったかもしれません。
ただ、似たような境遇に置かれている他の人々の悲鳴にも似た告白にも、心揺さぶられました。
とても興味深い物語でした。
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『100文字SF』北野勇作

2020-06-11 19:57:31 | 読書感想
 
以前、『じわじわ気になるほぼ100字の小説』のtwitterでの企画で、続きを応募するために考えたせいか、今回も、読むと続きを考えてしまいます。

8ページの人食い巨人怪獣についても、怪獣が巨大化した人間を食べるどころか、人間の方が怪獣を食べたりして(笑)なんて考えましたし、13ページの黒板も、実は学校は黒板のあるところに建てられたが、今後、ホワイトボードにとってかわられる予定だとか、たわいもない事ですけどね。

91ページの遺品の整理についての話や、102ページの自走式の何かとか好きですし、110ページの話は落語の「動物園」を思い出しました。

この本は、表紙も面白く凝っていますし、中に入っている草上仁さんの『5分間SF』『7分間SF』の広告まで100文字らしいのが、お茶目ですよねえ。

あと、これが紙の船じゃなく泥か亀の船だったら、もっと北野さんらしくて面白いのに・・・と考えるくらいには、北野さんの作品が好きです。
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