こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『米澤穂信と古典部』米澤穂信

2017-10-31 19:23:19 | 読書感想
インタビューや対談、30の質問、古典部メンバーの本棚も面白く、特に本棚は、所持していて未読の本もありますので、少し反省しつつ楽しみました。

でもやはり一番は、新作書き下ろし短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」に尽きます。
「山月記」は、あらすじしか知りませんが、ホータローの解釈が独特なのはよく分かります。
それでいて、正論なのも。

それでも、この中学時代の感想文は、ホータローにとっての黒歴史なのでしょう。
ホータローには申し訳ありませんが、笑ってしまいました。

米澤さんファンの方には、特にお勧めです。
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『マイ・ディア・ポリスマン』小路幸也

2017-10-30 19:34:36 | 読書感想
宇田巡(うだ めぐる)巡査は大卒で刑事まで勤めていたのに、左遷ではない事情で、<東楽観寺前交番>に勤めている。
しかも、交番のある東楽観寺の副住職・大村行成は、小学校の同級生なのだ。

そんな彼らの前に、漫画家を目指しているという女子高生・楢島あおいさんが、警察官の写真を資料として撮りたいと現れた。
宇田は、先輩の意見も聴いたうえで、快く承知した。
そこまでは良かったのだが、撮影中に彼女の同級生の鈴元杏奈さんもやってきて立ち話に興じた後、彼女たちの立ち去った頃に、ふと見ると、交番前のベンチの上に財布が置かれていたのだ。
ベンチに近寄った者は、誰もいなかったのに・・・。

話が進むにつれ、謎が少しずつ解明されていき、とある犯罪が善意の下、行われていた事が分かります。
ただねー、たまたま周りの人に本当の悪人がいなかったから良かったようなものの、危ないし宇田巡査も心配するから辞めようね?って思いました。

それにしても気になるのは、宇田巡査の交番勤めの理由です。
続編が書けるならば、ぜひ、その辺りを明らかにしていただきたいものです。
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『ブルーローズは眠らない』市川憂人

2017-10-29 19:34:07 | 読書感想
両親から虐待を受け続けていた名もなき少年が、ふとした弾みに両親を殺し、逃げていたところを受け入れ、エリックという名を付けてくれたのは、テニエル一家だった。

しかし、逆にその事が一家を死に至らしめる事となったのか?

<ジェリーフィッシュ>事件後、閑職に回されたマリアと漣は、不可能と言われた青いバラの完成を同時期に発表したテニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査してほしいという依頼を受ける。
ところが彼らとの面談後、密室状態の温室内で切断された首が発見され、扉には血文字があり、そこには縛られた生存者が残されるという事件が発生した。

ミステリにはいつもの事とはいえ、まさか犯人があの人物だとは思いませんでした。
しかもそれが、復讐だとはねえ。

事件解決後、どうかエリックとアイリスの心が、いくらかでも安らかならん事を祈らずにいられません。

それにしても、見事に騙されました。
お薦めです。
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『天岩戸』草上仁(SFマガジン2017年12月号収録)

2017-10-28 20:12:14 | 読書感想
日本神話の一番有名な話を、草上さんがどう料理するのか?
タイトルから、すっごく楽しみにしていましたが、スサノオノミコトって、そういう人物で、天岩戸とはそういうものだったのね!フムフム・・・と、一人で納得しちゃいけないのでした(^^;)

部屋にこもってしまったあるクニの居酒屋の看板娘を、出てくるように仕向けて欲しいと彼女の父親に頼まれたスサノオが、どうやったか?
これを読むと、風来坊と言いつつスサノオ、いい奴です。見直しました。

まあ、神話というものは、時としてその時代の権力者に都合のいいように描かれるものですから、この草上さんの解釈も、なかなか面白いものだと思います。

久しぶりの、SFマガジン登場!
ぜひ、お楽しみください♪
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『潮風エスケープ』額賀澪

2017-10-25 19:42:35 | 読書感想
実家の農業を継ぐのが嫌で紫峰大学附属高校への進学を決め、寮に入った多和田深冬は、大抵の放課後は大学の人文学科哲学専攻・江原ゼミの研究室に入り浸っている。

そんな深冬は、高校二年の夏休みに親の反対を押し切って、ゼミのフィールドワークに参加するため、学生の一人・潮田優弥の実家、潮見島の奇祭に参加する事にした。

そこで出会ったのは、祭の神女になるために十五年間、島から出た事にない少女・汐谷柑奈だった。

深冬は、まだ素直に実家が嫌だと言えるだけ、精神的には楽なんでしょうか?
柑奈は心が複雑に入り乱れて、辛かっただろうなあ、と思いました。

自分自身がどうしたいか、というのも、なかなか難しい問題だと思いますし、例え出ていきたいというのが本心だとしても、リスクを自分の責任として負えるのか、他人のせいにしないでいられるのか?というのもありますからねー。
もちろん、うまくいかなくて戻ってもいいのです。
でも、人生の決断って、難しいです。
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