こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『とにもかくにもごはん』小野寺史宜

2022-06-29 20:04:14 | 読書感想
 
夫の交通事故死をきっかけに、松井波子が子ども食堂を始めて5回目。
もう、なのか、ようやくなのかは分からないが、ボランティアスタッフにもここを訪れる人々にも色んな事情があり、様々な考えがある事が分かってきた。

冒頭から、子ども同士のケンカがありますが、波子がひとまず上手くおさめています。
しかし彼女自身、生前の亡夫との関係は不仲と言えなくもない状況で、しかも昔は、この子ども食堂のオーナーともトラブルがあったようです。
そのような多くの登場人物同士の絡まり合ったつながりの中から、この物語を紡いでいるところが、読む醍醐味でしょうか?

ただまあ、波子も傍観しているわけではなく、少なくともその場で問題をどうにかしようと行動を起こしているところが、状況をより良い方向に向けているのかもと思います。

子ども食堂をめぐる人々の、ささやかな人間模様が素敵でした。
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『小説キャンディ・キャンディ FINAL STORY(上・下)』名木田恵子

2022-06-26 20:04:03 | 読書感想
 
 
いつの間にか、この本が発売されてから十年以上経つのですね。
当時、この作品に関しては世の中で色々とありましたので、読んでも雑念がありそうで、あえて避けていましたが、久々にタイトルを目にする事がありましたので、今回は読んでみました。

こうして読み返してみると、キャンディを始め恋する男女の心の動きも面白く、甘々な台詞も素敵な男性からと思えば目に心地よく(笑)、楽しめるのですが、恋愛とは関係なく現れる人々も、とても魅力的です。

私としては、キャンディが看護学校で出逢うフラニーに共感するところがあります。
キャンディの恋愛を応援する私でさえ「テリィを強く、深く、愛する気持ちは分かる。分かるが・・・看護婦は人の命を預かっているんだよ!それも、よりによって夜勤帯の看護婦などの人数が少ない時に抜け出すんじゃないっ!!あんたがいないせいで人手が足りずに人が死ぬかもしれないと(無いとは思うが)考えた方がいいぞ」と思ってしまうのです。
ましてや真面目なフラニーは、なおさら。

・・・もしかしたらキャンディは自分の身内と思う人間には愛情深いけど、他人と思ったら全く気に留めないタイプなんでしょうか?仕事とはいえ、好き嫌い関係なく公平に看護するのが本道だと考えてしまう私も、真面目なんですかねえ?

本題に戻りまして、結局、キャンディが一緒になっているのであろう男性が誰なのかは分かりませんが、逆にそれが色々と空想できる面白さになっています。
いっその事、アルバートさんやテリィ以外を想像してみるのも、面白いのかもしれません。さて、誰を配役しようかな?
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『感応グラン=ギニョル』空木春宵

2022-06-23 19:46:20 | 読書感想
 
表題作は昭和初期の日本を舞台に、身体に障がいを持つ少女たちを集めた見世物小屋での残酷で耽美な出来事が、描かれます。

他の収録作品も、耽美でありながら醜悪、しかも、どれにも百合的要素があります。

私としては中でも、道成寺の安珍・清姫を実体化させるような病(?)を扱った「メタモルフォシスの龍」と、第二次世界大戦中、ゾンビ化してしまう少女ばかりを集めた女学校の真実を明かしていく「徒花物語」が、気に入っています。

多分この短編集は、江戸川乱歩作品に眉をひそめる方々には不向きだと思います。
ただ、その中で怖れながらも惹かれる面がある方は、読んでみるとはまるかもしれません。
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『猫は髭から眠るもの』編著者・堀本裕樹

2022-06-18 20:33:21 | 読書感想
 
「猫俳句大賞」の第一回から第三回までの、大賞から入選作品までを載せた本です。

私がこの本を買った理由は、第二回のゲスト審査員が新井素子さんだからというのが大きいです。

とはいえ、第一回の町田康さんが選ばれた準賞作での、凍て星とアルミ皿の対比が上手いと思っています。
この皿が陶器なら、猫がかりかりを食べたあとのぬくもりが長く残るのでしょうが、アルミ皿だからこそ、冷えるのも早く、猫の不在の寂しさが迫るのですね?

もちろん、素子さんが選ばれた準賞作品も楽しくて、猫の開きという表現が面白く、しかし、よくよく考えると心配な状況かもしれず、色々と考えさせられます。

次に素子さん選の佳作。
六日目の蝉や油虫は、・・・猫の習性で、褒めなきゃいけないのですが、飼い主の心境としては辛そうです。

あと、同じような状況の句として、素子さん選の夏虫から始まる句と、角田光代さん選のうららかや、に始まる句が、液体猫を表現していて楽しめます。
ただ、私の好みは角田さん選の句です。

さらに角田さん選では、一億光年の句が大好きです。
歌手の谷山浩子さんの歌詞でも多いのですが、私は天文学的数字に弱いのかもしれません。

他にも様々な表現で猫の愛らしさが表されていて、猫好きの方には特におすすめです。
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『月曜日は水玉の犬』恩田陸

2022-06-18 20:02:49 | 読書感想
 
恩田さんの読書エッセイ・・・と、言っていいのですよね?
その3冊目です。

そう言いつつも出だしは夢日記なのですが、物語性のある夢をよくご覧になるというのは、才能なのか、あまり眠れていないせいなのか、難しいところですよね?

恩田さんの健康も気になりつつ、本題に入ります。
まあ大抵、小説を紹介してくださっていますが、料理本・料理エッセイや、映画などもなかなか面白そうです。

ただ、私にとって一番興味を惹かれたのは「日販 BOOK HOTELのための一箱」です。
今でも積読をどうやって解消しようか悩み中なのに、自分自身に追い打ちをかけてどうする(バッタリ・・・気絶)

・・・ムックリ(復活)
それでも食指が動くものは、読みますけどね(ヲイ!)
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