こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』T・キングフィッシャー

2022-10-31 20:19:46 | 読書感想
 
幼い頃に両親を亡くし叔母夫妻に育てられた十四歳の少女モーナは、彼女たちのパン屋でパン焼き職人として働いている。

実はモーナはパンに関してだけではあるが、少しだけ魔法が使える。
せいぜいこね過ぎたパン種を落ち着かせる程度なのだが。

そんなある日、いつものように叔母のパン屋に仕事のために入ったところ、見知らぬ少女の死体を発見する。
しかも捜査のためにやって来たオベロン異端審問官が、死体に魔法の痕跡があるために、モーナに殺人の疑いをかける。
彼女が使える魔法は、パンをふくらます程度なのに!

叔母夫妻以外はみんなモーナを疑い始め、身の危険を感じたので、亡くなった少女の弟スピンドルの手引きで逃げ出し疑いを晴らす準備を始める。
モーナとスピンドルは、陰謀を企てた人物に打ち勝つ事ができるのか?

この物語、適度に考えさせると共にコメディ要素もあって、とても面白いです。
でもあとがきによると、色んな出版社から、それぞれの感じ方が違いつつ受け入れられなかったので、なかなか出版できなかったようです。

そりゃ、いきなり死体が登場しますし、大人たちが頼りないから貧弱な魔法しか使えないモーナが英雄になるしかなく、彼女にとっては理不尽だし不平たらたらですよねえ?
まあその分、モーナの焼いたジンジャ―ブレッドクッキーやボブが楽しく(?)活躍して話を盛り上げてくれて、バランスが取れていますよね?

どうやら続きが出るようですし、まだ活躍せざるを得ないようです。
大変だねえ、モーナ。
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「作家デビュー40周年記念エッセイ『いつまでやる気?』」&「作家デビュー40周年特別企画『草上仁が読みたい!』」2022年SFマガジン12月号掲載

2022-10-27 20:26:24 | 草上仁
 
相変わらず草上さんは奥ゆかしいというのか、表紙に何も書いていないのにこっそりこんな事してるんだもんなあ。

さてエッセイでも書いて下さっている通り、草上さんは作家生活40周年にあたり、まだまだ新作を書いて下さる気満々のご様子。
さらに今回は特別企画として、未発表短篇作品から読者投票で次号掲載作を決めるという、面白くも罪な話が載っています。
なぜ罪かって?
そりゃ、全部読みたいからに決まっています。

それはともかくこの企画は、読者が5作品のタイトルとあらすじから判断して、QRコードからの専用フォームからか、はがきでの投票が出来るようになっています。

もちろん私は早速投票いたしました。
1作品だけですよ?もちろん。
ただし、草上さんへのメッセージの記入欄もあったので、それにかこつけて全部読みたいですとの念押しはしております。はい。
担当編集者様もご覧になっているでしょうし、ここは宜しくと伝えておくべきではと思ったもので。
いやー、年を重ねると図々しくなりますなあ(笑)

いえ本当に、どれも興味深くて読みたいのは事実なんですよ。
迷っちゃう(苦笑)
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『貧者の核兵器』草上仁(2022年SFマガジン12月号掲載)

2022-10-27 19:59:46 | 草上仁
 
しょっぱなではありますが、私は不勉強にもこのタイトルの意味するところを知りませんでした。
ああ、恥ずかしい(;^_^A

気を取り直して、この作品の舞台はとても貧しい共和国の国立戦略兵器第一研究所。
研究所と銘打ってはいても、すべての機材が故障し備品も壊れ、材料も考えられない有様。

そんな苦しい状況の研究員たちがすがったのが、禁断の研究なのだった・・・と来れば、まだ良かったのでしょうが、話が進めば進むほど情けない状況に・・・。

何と申しましょうか、今の世界情勢や日本の状況を考えると、あまり笑えない面もあったりして困ります。
早く他人事のように笑い飛ばせる時代が来る事を願っています。
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絵本『いぬ』ショーン・タン

2022-10-24 19:36:23 | 読書感想
 
いぬとひととが出逢ってから現在まで、多くを語らず、その関係性を淡々と描いた絵本です。

これは、犬好きに絶対にお薦めしたいです。
感想も、語るのが邪魔なほど素敵な本だと思いますので、ぜひ!
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『たまごの旅人』近藤史恵

2022-10-23 20:42:30 | 読書感想
 
堀田遥は旅行添乗員。

子どもの頃から遠くの世界に憧れて外国語大のスペイン語学科に通い、英語とスペイン語をそこそこ喋れるくらいまで勉強した。
就職活動するときになって初めて、旅行添乗員のほとんどが派遣社員である事を知ったが、そこに躊躇は無かった。

遥が自分のプライベート旅行で出逢った旅行添乗員のおかげでこの仕事を目指したという面もあったのだが、初めての仕事での偶然の再会での彼女の反応は、どこか皮肉めいた反応をしたのだった。

他にも旅行客の自分勝手や傲慢さのための言動や行動によって、遥も含め添乗員が傷ついたり、辞めようとするのは悲しすぎますよね。

旅行添乗員に限らず、大昔の「お客様は神様」という傲慢な考え方が未だにはびこっているのは考えものだと思います。
そうでなくとも、相手が自分より立場が下と思うと見下すという言動や行動をしてしまう人々は、どうにかならないものかと感じます。

この物語では、色々とありながらも良い方向に状況が展開していきますが、現実もそうなって行って欲しいものです。難しい面もありますけどね。
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