安倍総理は1993年の「河野談話」1995年の「村山談話」を踏襲するという
ことで、 本日の訪中が実現したのかしら。「村山談話」(1995年8月15日)
に先立つ1995年6月9日の衆議院本会議・戦後50周年国会決議(村山談
話とほぼ同じ)に欠席した安倍議員、更には「新しい歴史を作る国会議員の
会」のメンバーとして、日本の侵略戦争で傷ついたアジアの諸国に「ごめん
なさい」と謝る歴史観を「自虐史観」と批判していました。総裁選時もその
歴史観、というより10月6日の朝まではその歴史観だったと思います。「村
山談話」を踏襲したのは「君子豹変」というならばご立派ですが。君子・・・
は続きがあります。「君子豹変 小人革面 象曰 小人革面順以従君也」
(出典:易経)しっかりお勉強をしている中国の政治家との会談はどのように
なるのでしょうか?
ちょっと解説をします。
「河野内閣官房長官談話 」1993年
アジア太平洋戦争中に旧日本軍は朝鮮や中国などの若い女性を強制的に従
軍慰安婦としていたということが表面化しましたが、日本政府も当時の軍関係
者も否定していました。が、この問題拡大され始めたので、政府としても調査
を迫られました。この調査結果について、現衆議院議長・当時の内閣官房長
官河野洋平の談話の一部を引用します。
1993年8月4日「・・・・(省略)・・調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわた
って慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所
は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理
及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与
した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当
たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集めら
れた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったこと
が明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での
痛ましいものであった。なお、戦地に移送された慰安婦の出身地について
は、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の
朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、
強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。いずれにして
も、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷
つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかん
を問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわ
たり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の
気持ちを申し上げる。
「戦後50年国会決議」
この決議が行われた1995年は、55年体制が崩壊(1993年)し、自由
民主党の勢力が著しく後退し、自社連立内閣の時期にあります。1993年
7月に初当選を果たした安倍晋三氏は1995年の「戦後50年国会決議」に
欠席しています。さらに、小泉内閣の2005年「戦後60年国会決議」でも、
決議の時に退出しています。以下に「戦後50年国会決議」を引用
歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議
衆議院本会議 1995年6月9日
本院は、戦後50年にあたり、全世界の戦没者及び戦争等による犠牲者
に対し、追悼の誠を捧(ささ)げる。また、世界の近代史上における数々
の植民地支配や侵略的行為に思いをいたし、我が国が過去に行ったこう
した行為や他国民とくにアジアの諸国民に与えた苦痛を認識し、深い反
省の念を表明する。我々は、過去の戦争についての歴史観の相違を超え、
歴史の教訓を謙虚に学び、平和な国際社会を築いていかなければならない。
本院は、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念の下、世界の国々と手を携
えて、人類共生の未来を切り開く決意をここに表明する。右決議する。
「村山談話」1995年8月15日を引用
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民
を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけア
ジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤
ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け
止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを
表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀
悼の念を捧げます。敗戦の日から50周年を迎えた今日、わが国は、深い反
省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として
国際協調を促進し、それを通じて、平和の理念と民主主義とを押し広めてい
かなければなりません。同時に、わが国は、唯一の被爆国としての体験を踏
まえて、核兵器の究極の廃絶を目指し、核不拡散体制の強化など、国際的
な軍縮を積極的に推進していくことが肝要であります。これこそ、過去に対す
るつぐないとなり、犠牲となられた方々の御霊を鎮めるゆえんとなると、私は
信じております。
「君子豹変 小人革面 象曰 小人革面順以従君也」(出典:易経)
大漢和辞典から引用
君主は豹の毛皮の斑文の明らかなるように、旧悪を改めて、善に遷ること
が著しい。小人は心を一変して善に写ることはないけれども、明君が上に
立てば、外貌を革めて、上の風に従がい悪を律にせめようになる。
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