台湾のチェン・ユーシュン監督「1秒先の彼女」っていう映画が公開されたが、これは実にステキな映画だった。見たのは少し前だけど、見た瞬間から是非もう一回見たいなあって思う、そんな映画だった。予想もしない展開になっていって、なるほどそうかと判った時点から見直したいのである。アラサー女子にようやく訪れたバレンタインデーのお誘い。ところが目覚めたら、もう終わっていたではないか。「盗まれた一日」はどこへ行った? 彼女は警察に駆け込むが…。ミステリーかSFみたいな設定がコミカルに展開されていく。一体どうなるの?
原題は「消失的情人節」で、この「情人節」というのが「バレンタインデー」なんだという。でも2月14日ではない。台湾ではもう一つあって、それは「七夕」である。それも旧暦の7月7日だから、今年は8月14日だという。ここは男の方からプレゼントするんだと。世界にはいろいろあるもんだ。映画の中でバレンタインって何度も言ってるけど、いくら亜熱帯の台湾でも2月なのかと疑問に思ったが、要するにそういうことだった。台湾を代表する映画賞、金馬奨で作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、視覚効果賞の5部門で受賞した作品である。
(原題のチラシ)
ストーリー紹介をコピーすると、「郵便局で働くシャオチーは、仕事も恋もパッとしないアラサー女子。何をするにもワンテンポ早い彼女は、写真撮影では必ず目をつむってしまい、映画を観て笑うタイミングも人より早い...。ある日、ハンサムなダンス講師とバレンタインにデートの約束をするも、目覚める となぜか翌日に。バレンタインが消えてしまった...!? 秘密を握るのは、毎日郵便局にやってくる、常にワンテンポ遅いバス運転手のグアタイらしい。シャオチーは街中の写真店で、なぜか目が見開いている見覚えのない自分の写真を偶然見つけるが…。」しかし、これだけでは何も判らないだろう。
(郵便局の窓口のシャオチー)
世の中にはせっかちな人もいれば、テンポが遅い人もいる。現実にそういうタイプの違いはよく見られるけど、だからといって徒競走でいつもフライングするとか、逆に周りが走り出しているのにノンビリとスタートするって、それほどいつもズレてる人もいないだろう。でもシャオチーは写真を撮るときにいつも目をつむっている。「1秒先」を生きているのである。という設定だから、前半はコミカルに展開する。大体一日が無くなるはずがないし、その間に何故かシャオチーは日焼けしている。それは何故か。合理的に解決されるというより、やっぱりファンタジーなんだけど、仕掛けが判ってからが感動的なのである。
(シャオチーはダンス教師と親しくなるけど…)
監督・脚本のチェン・ユーシュン(陳玉勲、1962~)は「熱帯魚」(1995)、「ラブ・ゴーゴー」(1997)で知られたが、その後はCMで活動していたという。2013年に「祝宴!シェフ」で長編劇映画に復帰、これが長編映画5作目である。僕は昔「熱帯魚」を見てると思うが、あまり覚えてない。撮影のチョウ・イーシエンも見事で新作「返校」などを撮っている。主演のシャオチーをやってるリー・ペイユーは、どこにもいそうな感じだけど忘れがたい。郵便局の同僚をやってるヘイ・ジャアジャアは台湾棋院所属の囲碁棋士でもあると出ている。美人棋士として日本でもテレビに出ているという。
「1秒先の彼女」は「時間差」(タイムラグ)を見事に生かした発想が素晴らしい。性格のズレ、出会いのズレ、好意のズレを、時間のズレに読み直したシナリオが本当に見事。「こんな映画見たことない」と多くの人がコメントしているが全くその通り。オチを書くわけに行かないので、是非とも本編で驚いて欲しい。ラストにビージーズの「ジョーク」(I started a joke)が流れるとき、あまりにもピッタリで感動してしまった。奇跡の「胸キュン映画」の誕生。現実の時空間を少しズレて生きている人に、「奇跡には起こるタイミングがある」と伝えてくれる。
原題は「消失的情人節」で、この「情人節」というのが「バレンタインデー」なんだという。でも2月14日ではない。台湾ではもう一つあって、それは「七夕」である。それも旧暦の7月7日だから、今年は8月14日だという。ここは男の方からプレゼントするんだと。世界にはいろいろあるもんだ。映画の中でバレンタインって何度も言ってるけど、いくら亜熱帯の台湾でも2月なのかと疑問に思ったが、要するにそういうことだった。台湾を代表する映画賞、金馬奨で作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、視覚効果賞の5部門で受賞した作品である。
(原題のチラシ)
ストーリー紹介をコピーすると、「郵便局で働くシャオチーは、仕事も恋もパッとしないアラサー女子。何をするにもワンテンポ早い彼女は、写真撮影では必ず目をつむってしまい、映画を観て笑うタイミングも人より早い...。ある日、ハンサムなダンス講師とバレンタインにデートの約束をするも、目覚める となぜか翌日に。バレンタインが消えてしまった...!? 秘密を握るのは、毎日郵便局にやってくる、常にワンテンポ遅いバス運転手のグアタイらしい。シャオチーは街中の写真店で、なぜか目が見開いている見覚えのない自分の写真を偶然見つけるが…。」しかし、これだけでは何も判らないだろう。
(郵便局の窓口のシャオチー)
世の中にはせっかちな人もいれば、テンポが遅い人もいる。現実にそういうタイプの違いはよく見られるけど、だからといって徒競走でいつもフライングするとか、逆に周りが走り出しているのにノンビリとスタートするって、それほどいつもズレてる人もいないだろう。でもシャオチーは写真を撮るときにいつも目をつむっている。「1秒先」を生きているのである。という設定だから、前半はコミカルに展開する。大体一日が無くなるはずがないし、その間に何故かシャオチーは日焼けしている。それは何故か。合理的に解決されるというより、やっぱりファンタジーなんだけど、仕掛けが判ってからが感動的なのである。
(シャオチーはダンス教師と親しくなるけど…)
監督・脚本のチェン・ユーシュン(陳玉勲、1962~)は「熱帯魚」(1995)、「ラブ・ゴーゴー」(1997)で知られたが、その後はCMで活動していたという。2013年に「祝宴!シェフ」で長編劇映画に復帰、これが長編映画5作目である。僕は昔「熱帯魚」を見てると思うが、あまり覚えてない。撮影のチョウ・イーシエンも見事で新作「返校」などを撮っている。主演のシャオチーをやってるリー・ペイユーは、どこにもいそうな感じだけど忘れがたい。郵便局の同僚をやってるヘイ・ジャアジャアは台湾棋院所属の囲碁棋士でもあると出ている。美人棋士として日本でもテレビに出ているという。
「1秒先の彼女」は「時間差」(タイムラグ)を見事に生かした発想が素晴らしい。性格のズレ、出会いのズレ、好意のズレを、時間のズレに読み直したシナリオが本当に見事。「こんな映画見たことない」と多くの人がコメントしているが全くその通り。オチを書くわけに行かないので、是非とも本編で驚いて欲しい。ラストにビージーズの「ジョーク」(I started a joke)が流れるとき、あまりにもピッタリで感動してしまった。奇跡の「胸キュン映画」の誕生。現実の時空間を少しズレて生きている人に、「奇跡には起こるタイミングがある」と伝えてくれる。