尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

野党支持者に試される忍耐力ー参議院で少数の現状をどう考えるか

2021年10月20日 22時34分56秒 |  〃  (選挙)
 衆院選の話を少し続けて書こうかと思う。19日に公示され、各党党首がテレビなどで紹介される。国政に議席を持っている政党は呼ぶ方針らしく、衆議院には議席がない「れいわ新選組」や「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」も呼ばれている。他を一応挙げておけば、自由民主党立憲民主党公明党日本共産党日本維新の会国民民主党社会民主党(衆議院の公示前勢力順)の合計9党である。比例区に出ている政党はこれだけだと思っている人が多いだろうが、他に「日本第一党」「新党やまと」「政権交代によるコロナ対策強化新党」(以上東京)「支持政党なし」(北海道)が出ている。比例代表の定数が一番多い近畿で出ないのが不思議。
(9人の各党首)
 ズラッと紹介するときは顔だけになることが多いから判らないけれど、日本記者クラブで行われた共同記者会見では一堂に並んだ写真が報道された。別に身長で政治が変わるわけはないではないけれど、それを見ると結構党首に身長差がある。高い方から立花、志位、山口、山本、玉木、岸田、枝野、松井という感じかなと思う。福島瑞穂が一番低いけど、男で言えばそういう感じ。松井一郎が背が低くて、立花孝志が一番高いように見えるのは意外な感じがする。山本太郎は俳優だったから、身長も公表されているかと思って検索したら、公称175㎝だそう。岸田首相は173㎝だと出ている。まあどうでもいいけど、ちょっとどうだろううかなと思ったので。
(日本記者クラブでの一堂写真)
 今回立憲民主党は(全289小選挙区の中で)214選挙区に候補を立てた。他に推薦候補がいるところもあって、数字上は「立憲民主党単独政権」が成立可能になる。今回は立憲民主党と共産党がかなり「選挙協力に近いこと」をしている。ホントに協力するとなると、全選挙区で棲み分けて、相互に推薦を出さなければおかしい。今回はそこまではやってない。というか、やると「逃げる票」もあるということだろう。

 今回は共産党が候補を下ろして「勝手連」的に応援する。(「勝手連」も古い用語かもしれないが。)一方で立憲民主が候補を立てずに共産党候補が「事実上の野党統一候補」になっているところもある。融通無碍なところが日本的ではある。じゃあどんどん勝って、自公で過半数を割ったら立共で連立内閣を組織するのか。そこは「閣外協力」と言っているが、自民党はそこを攻撃して「政権選択ではなく体制選択だ」と各地で猛烈な反共攻撃をしている。その問題は別に考えたいと思うが、とにかく今回の選挙の焦点になっている。

 とは言うものの、今回の選挙で一気に政権交代というのは難しいだろう。それが大方の予想になっている。今の段階でそれが正しいかどうかは判らない。野党協力や安倍・菅政権の「負の遺産」、岸田内閣の支持率も今ひとつぱっとしないところから、自民が減って立憲民主が増えるだろうということは予想されている。でも問題はその幅である。ただし、コロナ禍の影響がどう出るか、全く判らない。

 コロナ禍といっても業績がかえって伸びた企業も案外あるが、非常に困窮している人もいる。コロナ禍でいろいろ考えただろう人が、取りあえず手っ取り早く自民党に助けを求めるか、それとも怒りの一票を野党に入れるか、はたまた選挙に行くヒマも関心もないと棄権するか。98年参院選のように、前年の金融危機を受けて予想外の自民党大敗北が起こった例もある。98年参院選(橋本内閣)や10年参院選(菅直人内閣)のような予想外の事態(与党敗北)も起こりうるかもしれない。岸田首相が総裁選で主張したことが公約になっていない。有権者が「岸田首相はぶれた」「安倍元首相が操っている」と判断すると、予想外に自民が伸びないこともありうる。

 もう一つ重要な点は「野党支持者の忍耐力」だと思う。今回野党が主張していることのほとんどは、仮に政権が交代してもすぐには実現出来ない。参議院で多数を持っていないからだ。山本太郎が「消費税は廃止」と言ってるけど、もちろんそれはごく少数勢力の「れいわ新選組」が他の野党と別に主張してることだから、実現することはない。それどころか、他の野党が概ね主張している「消費税減税」も実現は難しい。与野党が逆転しても、参議院の多数派の自民党は妥協しないだろう。それが10年前の教訓で、民主党政権の足を引っ張り続けて、ついに民主党を分裂に追い込んだ。そして自民党は大勝利して政権に復帰した。

 その時に野党支持者が「消費税が減税になると思って投票したのに、実現しなかった」と失望して政治への関心を失ってしまうかもしれない。そんなことを言っても衆参両院で多数を占めてないんだから、仕方ないじゃないかと思う。有権者もそんなに愚かではないだろうと思うと、案外そういう人がいるんだと思う。30年前もそういう人がいた。「消費税を廃止する」というから社会党に入れたのに、実現しなかったと思った人がいるのである。でも自民党が選挙で勝ったんだから、社会党に入れた人が少数だっただけなのである。今回はやはり選挙には行かなければという若い人向けのキャンペーンもある。しかし、ネットで調べて消費税を減らすと言うから入れたけど、実現出来なかったと去って行く人が出ないとは言えない。
(参議院の勢力)
 次の参議院選挙は2022年7月である。だから野党支持者にとっては、今後の半年間が非常に重大だ。今回の選挙の結果がどうなろうと、すぐに総括して来年の選挙の準備を始めなければいけない。現在の参議院(全245議席)では自民党が108、公明党が28の議席を持っている。ただ24日に2議席の補欠選挙があって、確実に1議席は自民党。山東昭子議長や五輪組織委の橋本聖子が無所属になっている。野党では立憲民主が45、維新と国民民主が15、共産が13といった具合である。参議院は1人区が多く、与野党逆転が実現しやすい。現実的には来年の参院選で与野党伯仲を実現できるかどうかで、次の衆院選で政権交代が見えてくるのだと思う。
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