尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

自書式から記号式へ、さらに順位付け投票に選挙改革を

2021年10月30日 22時23分47秒 |  〃  (選挙)
 選挙というものは、100%考えが一致する候補者はなかなか見つからないものだ。調べていくとこの人はどうなんだろうと思うことが多い。でも100%の一致を求めてしまうと、自分で立候補しない限り棄権せざるを得なくなる。自分で立候補するわけにもいかないから、まずまずのところで妥協するしかない。

 だけど最低限、名前を覚えていかないといけない。「自書式」だからである。明治時代から有権者が候補の名前を書く方式が定着してしまった。前近代から識字率が高かった日本だからこそかもしれないが、今ではどうなんだろうか。結構投票に行くのが大変だという声もある。物理的な大変さ(会場に段差があるなど)もあるが、名前を書くためのメモも持ち込んではダメ、老夫婦で相談してもダメという投書があった。

 調べてみると、衆院選と同日に行われる神戸市長選では「記号式」で行われるという。記号式と言っても、要するに候補者名の上に○印を付けるだけである。(下の画像参照)もっとも記号式は31日だけで、期日前投票、不在者投票は自書式だという。その理由は判らない。他にも記号式でやってるところがあるらしい。だから法律で出来るようになっているんだろう。
(神戸市の投票用紙モデル)
 日本の選挙というと、選挙カーが「○○、○○」と名前だけ連呼していくイメージがある。まずは名前を記憶してもらわないといけないんだから、やむを得ない面がある。政策より候補者名世襲政治家が有利になる現行の自書式を変えた方がいいんじゃないだろうか。高齢者、障がい者にはその方がいいだろうし、開票も簡単だ。解読が難しくて裁判になるようなケースも少なくなるだろう。(二人にまたがるように○をする人なんかもいて、もめることはあるだろうが。)郵便番号みたいに機械で開票すれば時間と予算も節約になる。

 しかし、それだけでなく記号式にすれば、「順位付け投票」も可能になる。小選挙区が良いのかどうか検討が必要だと思うが、小選挙区制度を続けるならば「過半数の得票がない場合は決選投票にする」べきだ。自民党総裁選だって決選投票だったのだから、自民党も反対しないだろう。投票率が5割前後、野党候補がいっぱい立って得票率40%程度で与党候補が当選したとする。そうすると有権者全体のわずか2割ほどの得票で、その地域の人々の意向を与党が代表してしまうことになる。

 それは問題だということで、今回は野党どうしの選挙協力が行われている。それは「候補を統一する」というやり方で、どこかの党(主に共産党)が候補を下ろしている。しかし、誰を統一候補にするかもめたり、直前に急に決まってバタバタしたりした。でも本来はトップの候補者の得票率が5割に行かない場合は、1位と2位で決選投票するべきじゃないのだろうか。フランスのように一週間後に決選投票をしてる国があるんだから。

 だけど一週間後にまた選挙かよと思って2回目は行かない人が多いだろう。投開票の手間も大変である。だったら「順位付け投票」をしたら良いのではないか。全員に付けるやり方もあるが、まあ「1」と「2」を書くだけでいいと思う。最初に1位票を確認して(機械ですぐに読み取れるはず)、過半数に達した候補がなければ、3位以下の候補票の2位投票を確認していく。その2位票を足してトップの候補を当選とする。2位を書かない人もいるだろうから、どっちも過半数に達しないこともありうるが、その場合はトップが当選でいいと思う。

 各野党がそれぞれ出ても、協定を結んでお互いに2位と書くように支持者に呼びかければいい。立憲民主党の場合、政策的に共産党に歩み寄らないと2位と書いてくれないことがありうる。だけど保守系候補の場合、維新に近づく人もいるかもしれない。この制度になれば、各政党がもっと擁立することになる。自民党の場合、国民民主などに2位と書いてもらうために、あまり極端に右派的な政策を抑制する必要も出て来る。いろんなことが起こると思うが、それが目的ではなく、要するに「小選挙区では過半数の得票で当選とする」ことが重要だということだ。最新の読み取り機を開発すれば、十分に実現可能だと思う。
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