本や映画の話を書いてる間に「学術会議問題」で少しずつ新事実が出てきた。菅首相は国会の閉会中審査にも出ず、記者会見も開かない。その代わりにマスコミ各社の「インタビュー」に応じるというおかしな事態が起こっている。1回目が10月5日で、内閣記者会当番幹事社の北海道新聞、読売新聞、日本経済新聞だった。他社は質問は出来ないが傍聴を認められた。他社もインタビューを申し込み、9日に朝日新聞、毎日新聞、時事通信社の3社のインタビューに応じた。(申し込み順だという。)しかし、このやり方自体に違和感がある。
それはさておき、この9日のインタビューで「除外前の名簿は見ていない」という発言があったのである。さらに「任命に学者個人の思想信条が影響するか」との質問に「それはありません」と明白に否定した。これはにわかには信じられないが、とにかくそう言っている。これが大きな波紋を呼んだわけである。それまで理由は言わないが「総合的、俯瞰的に」判断したとしていた。そうなると法律で明確に総理大臣が任命するとなっているのに、総理大臣の権限を持たない何者かが「総合的、俯瞰的に」判断したということになってしまう。
(任命拒否をめぐる問題点=東京新聞13日)
この答えが正しいのなら上の画像にあるように、「首相が推薦リストを見ていない」ならば、「推薦に基づいて」任命するという法律の規定に違反する。「首相が見たリストに当初から6人が除外されていた」とするならば、「内閣総理大臣が任命する」という法律の規定に違反する。そこで加藤官房長官がその後「微調整」を行って、「見てない」というのは「詳しくは見ていないということ」だとし、推薦リストから(99人を)任命しているから適法だと説明した。
しかし、詳しく見てないのに6人を除外出来る理由がわからない。それも「思想信条は関係なく」「総合的・俯瞰的に」判断して「除外者」があったが、理由は人事だから言えない。これはさすがに安倍政権を「踏襲」するというだけあると思う。「桜を見る会」と同じような詭弁の連続だ。「首相と考え方が共有され、それにのっとり内閣府が99人の決済文書を起案した」ということだが、実際のプロセスでは今までの似たような人事案件と同じく、杉田和博官房副長官の関与が大きいらしい。「公安警察」出身の杉田氏の「恐怖支配」が菅内閣でも続いている。
(「インタビュー」に答える菅首相)
野党側は杉田副長官の国会招致を求めている。当然のことだが、証人喚問でもなければ真実を語ることはないだろう。「人事」を理由にして国会に出てきても何も答えないと思う。しかし、「除外した理由」を何一つ示さずに、首相の権限だ、特別公務員だから首相が判断していいんだの一辺倒では誰も納得できないだろう。だからと言って「思想信条ではない理由」を6人すべてに説明出来るはずがない。僕は政権側は「もう詰んでいる」と思う。「学術会議のあり方について認識の行き違いがあった」とでも言って、「補充」として改めて6人を任命するしかないと思う。
今回、大西隆元会長が盛んに発言をして政府を批判している。先に書いたように、大西氏は会長時代に軍事研究をめぐって「自衛ならいいのではないか」という方向でまとめようとしていた人物だ。今回乱暴な任命拒否を強行したことで、そういう人まで「学術会議擁護」の立場に追いやってしまった。文系学会だけでなく、自然科学系の93学会も「任命されなかったことを憂慮する」という緊急声明を発表した。これでは政権側からしても逆効果でしかないだろう。
もっとも今までも補充人事について、内閣と対立して補充できなかったことがあったという。甘利明衆議院議員がブログで「学術会議は中国の『千人計画』に協力している」などというデマ記事を書いたのは8月6日だったという。(これは記述を秘かに修正していたと言うことだが。なお、広島への原爆投下の日に、こういうことを書いていたのである。)つまり、自民党あげての「反学術会議プロパガンダ」が進められていたのかもしれない。そういうプログラムがあったかどうか判らないけど、菅内閣の本質的な問題が現れている感じがする。今後も折に触れて書いていきたい。
それはさておき、この9日のインタビューで「除外前の名簿は見ていない」という発言があったのである。さらに「任命に学者個人の思想信条が影響するか」との質問に「それはありません」と明白に否定した。これはにわかには信じられないが、とにかくそう言っている。これが大きな波紋を呼んだわけである。それまで理由は言わないが「総合的、俯瞰的に」判断したとしていた。そうなると法律で明確に総理大臣が任命するとなっているのに、総理大臣の権限を持たない何者かが「総合的、俯瞰的に」判断したということになってしまう。
(任命拒否をめぐる問題点=東京新聞13日)
この答えが正しいのなら上の画像にあるように、「首相が推薦リストを見ていない」ならば、「推薦に基づいて」任命するという法律の規定に違反する。「首相が見たリストに当初から6人が除外されていた」とするならば、「内閣総理大臣が任命する」という法律の規定に違反する。そこで加藤官房長官がその後「微調整」を行って、「見てない」というのは「詳しくは見ていないということ」だとし、推薦リストから(99人を)任命しているから適法だと説明した。
しかし、詳しく見てないのに6人を除外出来る理由がわからない。それも「思想信条は関係なく」「総合的・俯瞰的に」判断して「除外者」があったが、理由は人事だから言えない。これはさすがに安倍政権を「踏襲」するというだけあると思う。「桜を見る会」と同じような詭弁の連続だ。「首相と考え方が共有され、それにのっとり内閣府が99人の決済文書を起案した」ということだが、実際のプロセスでは今までの似たような人事案件と同じく、杉田和博官房副長官の関与が大きいらしい。「公安警察」出身の杉田氏の「恐怖支配」が菅内閣でも続いている。
(「インタビュー」に答える菅首相)
野党側は杉田副長官の国会招致を求めている。当然のことだが、証人喚問でもなければ真実を語ることはないだろう。「人事」を理由にして国会に出てきても何も答えないと思う。しかし、「除外した理由」を何一つ示さずに、首相の権限だ、特別公務員だから首相が判断していいんだの一辺倒では誰も納得できないだろう。だからと言って「思想信条ではない理由」を6人すべてに説明出来るはずがない。僕は政権側は「もう詰んでいる」と思う。「学術会議のあり方について認識の行き違いがあった」とでも言って、「補充」として改めて6人を任命するしかないと思う。
今回、大西隆元会長が盛んに発言をして政府を批判している。先に書いたように、大西氏は会長時代に軍事研究をめぐって「自衛ならいいのではないか」という方向でまとめようとしていた人物だ。今回乱暴な任命拒否を強行したことで、そういう人まで「学術会議擁護」の立場に追いやってしまった。文系学会だけでなく、自然科学系の93学会も「任命されなかったことを憂慮する」という緊急声明を発表した。これでは政権側からしても逆効果でしかないだろう。
もっとも今までも補充人事について、内閣と対立して補充できなかったことがあったという。甘利明衆議院議員がブログで「学術会議は中国の『千人計画』に協力している」などというデマ記事を書いたのは8月6日だったという。(これは記述を秘かに修正していたと言うことだが。なお、広島への原爆投下の日に、こういうことを書いていたのである。)つまり、自民党あげての「反学術会議プロパガンダ」が進められていたのかもしれない。そういうプログラムがあったかどうか判らないけど、菅内閣の本質的な問題が現れている感じがする。今後も折に触れて書いていきたい。