昨日、大学から戻って家に入った時、眼の前に(まったく眼の前に)巨大な飛行船が飛んでいた。いまだかつて見たことのない大きさの飛行船がふわ~~~っと、ゆっくり南の方へ漂っていくのを、なんだか不思議な気持ちで見送っていた。飛行船、、っていいなあ。きっと、速度も、燃費も、効率も、輸送力も、ただムダに在るとしか思えない物体ではあるけれど、日常の時間の流れとはべつのところを旅しているんだね、あの飛行船は。。乗ってみたい。
翌朝、新聞みたらツェッペリン号(!)でした。
***
芥川龍之介夫人、芥川文さんへの聞き書き『追想 芥川龍之介』という本が、高校生ごろからの愛読書のひとつでもあるのだけど、その中に、大正12年、関東大震災の日のことが書かれている。
昼食時、揺れが襲ってきた時、夫人が子供らを連れ出して庭へ逃げる一方で、龍之介は「早く外へ出るように」とだけ言ってひとり先に逃げていた。夫人がそれをなじると、龍之介はひっそりとこう答えた。
「人間最後になると自分のことしか考えないものだ」
このときの龍之介を不人情と思う人もいるだろう。。でも、きっと、、、夫人の非難が、自我と世界の軋みに耐えている龍之介には、痛烈に心にひびいたのではないかしら、、、。俺とは、そういう者なのだと、、かなしく思ったのではないかしら、、、。
そうでなければ、龍之介は命を絶ったりしなかった、、でしょう。
漱石全集、、だったかな・・・漱石の葬儀の日の様子が書かれているものの中に、龍之介のその日の様子があった。。。斎場をそっと離れて、、先生が死んだ、というやり場のない怒りを一瞬、露わにする様子が書かれていたように記憶している。龍之介は、情愛の無い男では無かった、、と思う。ただ、その苦しみは日常と摩擦しながら、日常とは少しべつのところを旅していた、、、と思う。
このことは、この前、高村薫さんのときに書いた疑問と、すこしつながる。。
ツェッペリン号のNEWS>>
『追想 芥川龍之介』 (絶版らしい)
翌朝、新聞みたらツェッペリン号(!)でした。
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芥川龍之介夫人、芥川文さんへの聞き書き『追想 芥川龍之介』という本が、高校生ごろからの愛読書のひとつでもあるのだけど、その中に、大正12年、関東大震災の日のことが書かれている。
昼食時、揺れが襲ってきた時、夫人が子供らを連れ出して庭へ逃げる一方で、龍之介は「早く外へ出るように」とだけ言ってひとり先に逃げていた。夫人がそれをなじると、龍之介はひっそりとこう答えた。
「人間最後になると自分のことしか考えないものだ」
このときの龍之介を不人情と思う人もいるだろう。。でも、きっと、、、夫人の非難が、自我と世界の軋みに耐えている龍之介には、痛烈に心にひびいたのではないかしら、、、。俺とは、そういう者なのだと、、かなしく思ったのではないかしら、、、。
そうでなければ、龍之介は命を絶ったりしなかった、、でしょう。
漱石全集、、だったかな・・・漱石の葬儀の日の様子が書かれているものの中に、龍之介のその日の様子があった。。。斎場をそっと離れて、、先生が死んだ、というやり場のない怒りを一瞬、露わにする様子が書かれていたように記憶している。龍之介は、情愛の無い男では無かった、、と思う。ただ、その苦しみは日常と摩擦しながら、日常とは少しべつのところを旅していた、、、と思う。
このことは、この前、高村薫さんのときに書いた疑問と、すこしつながる。。
ツェッペリン号のNEWS>>
『追想 芥川龍之介』 (絶版らしい)