星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

新しい年に、、いまの気持ち

2006-01-03 | アートにまつわるあれこれ
2006年が始まりました。
今年が皆さまにとって良い一年でありますように。

アンドレイ・ルブリョフの「聖三位一体」。
旧約聖書 創世記18に記された、アブラハムのもとを訪れた3人の天使をもてなす場面、というものですが、私はロシア正教信者ではないのでこれは美しい芸術として、見るたびにいつも心を穏やかにしてもらうことのできる、大事な〈作品〉です。戦乱で荒廃した国土の復活とそこに生きる人々の和を願って、空の青と、大地の茶と、作物の緑と、美しい薔薇色とで彩られた、睦まじい天使の姿。

新年の番組で、仏像100選をとりあげたものがありました。半分ほど見ていましたが、私も大好きなはなちゃんが、お仏像に「会いに行く」と表現していて、、本当にその表現の通りだと思うのです。出来たら仏像は美術館の展示ではなくそのお寺へ「会いに」行きたい。そうやって「お会いした」お仏像には、TVで再見した時にも、かつてのお寺の景色、お堂の静かさ、お香の匂い、その日の寒さあるいは暑さ、それらが同時に甦ってくるから。お堂の中でお会いする仏像には、長い長い時間、其処でずっと人々を見守ってきた〈時間〉が感じられるのです。自分の生命の前の果てしない〈時間〉が見えてくるのです。

宗教の境を超えて、「聖三位一体」は、お仏像と同じ気持ちで見つめられます。以前にも書いたことですが、ロシアの研究家が京都を訪れたとき、弥勒菩薩像にルブリョフの天使像と同じ美を感じたと語ったそうです。ルブリョフがイコンを描いた修道院や、この天使たちが収められたトレチャコフ美術館へ、私が「お会いしに行く」ことは、もしかしたら無いかもしれないけれど、世界中から宗教も人種の境も超えていろんな人がこの天使に会いに行って欲しい、、、いつまでも、、いつまでも、けっして戦乱などで破壊されることなく。。