星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
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the beat generation と三島

2006-01-19 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)

   当時東京ではツウィストが流行しはじめ、ビート・バアがいくつか店を開いた。
   ・・・(中略)・・多分、かれらの生活は、短篇小説の題材にしか適しないので
   あろう。流行は去り、かれらも年をとり、さらに滅茶苦茶な新しい世代へ代が替
   って、かれらも、かれらの青春も、一時期の新宿界隈も、そして作者の私自身も、
   過去に向って埋もれることになった。


 ***

三島由紀夫自選短篇集『真夏の死』(新潮文庫)の解説、『葡萄パン』という作品に対するものである。これを読んだのが15才。『葡萄パン』の〈透明な存在〉ジャックは、以来私個人の中ではずっと(勝手に)トム・ヴァーレインなのだった。〈ビート・バア〉という言葉は解らなかったけれど、70年代のNYアンダーグラウンドもまあこんなもんだろうと、、。小説の中でジャックが読む『マルドロールの歌』の本をすぐに探した。田舎の書店ではなかなかみつからずに(注文しようという気など当然無かった)、読むまでに1,2年かかった気がする。

トム選曲のRadioの最後に「the beat generation」という曲がかかった。
「ああ、、」と思って、『マルドロールの歌』をまた引っ張り出した。
ジャック=トムと想像していた子供には強烈すぎたマルドロールが、今読むと何とも〈ピュア〉なのであった。。
〈ビート・バア〉も、、「the beat generation」で歌われた情景、あの古めかしい音と共に「ああ、、」なのであった。。ついでに、主人公の名前、、そうだ、〈ジャック〉だ。
それで、、(Radioのお喋りを聴いて)、、やっぱり今もジャックはトムなのだと思う。

15才の読書もムダにはならないものらしい、、。