星のひとかけ

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ボルヘスとイギリス文学

2006-11-02 | 文学にまつわるあれこれ(鴉の破れ窓)
数年前に、
「オレが読むより、必要だろうと思って、、」と
故郷の友人が貸してくれた本、
『ボルヘスのイギリス文学講義』

今度、会いに行くので返さねば、、と思い、もう一度開いた。
中世から、現代まで、、、チョーサーから、エリオットまで、、さまざまな文学者について
ボルヘスのひとことコメント、のような形で、書かれている。
ひととおりは読んだ記憶があったが、今読んで、いちおうボルヘスの言わんとしてる事がわかるくらいには自分が成ったような気がする。本当に、ひとことコメント、という感じなので、「ああ、ボルヘスはコールリッジをこう見てるのね」という風な、、。
だから、これを読んだからといってイギリス文学が解るか、というと、それはまるで解らない。
色んな事が書かれているけれども、何かが解るわけではない、、というのは、ボルヘスの小説と同じですね。

読み飛ばしていた、訳者中村健二先生による解説「ボルヘスと英文学」、、これを読み始めたら、「いかん、、こんな大事な事が書かれていたのに!」、、と、返す前にコピーでもとっておかないと。。鋭いご指摘の数々、、。ボルヘスの文学の基盤は〈英文学〉にある、というのは、他からも聞かされていて、私もそう思うのですが、中村先生の解説では、ボルヘスとイギリスロマン派、そしてルイス・キャロルの〈アリス〉との相関など、書かれています。それを読んでて、はた!と思った。。

私の幼少時、、丸い手鏡を二つ向き合わせて、「ほら、タイムトンネル」と、兄と遊んだ事があった。。当時のTVでやってた『タイムトンネル』なんだけど、、あの鏡合わせは極めて意味深かったのだなあ、、と。。中村先生によるボルヘスのキーワードに、「無限後退」というのがある。総てであり、無限である『バベルの図書館』にも繋がる。。〈アリス〉にも繋がる。。そして、アラン・ポーの「渦巻き」(これはポーがイギリスロマン派から得た象徴だと私は感じているのだけど、、)にも繋がる。。

そういえば、、9月末に、早稲田で「ボルヘス会」の会合があって、、あとひと月後だったら行けたのになあ、、という、ボルヘスの「迷宮」をテーマにした講演などあった(と思う)。故郷の知人は、昨年「ボルヘス会」に行ったとか、行きたかったとか、、。帰ったら聞いてみよう。

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